改訂新版 世界大百科事典 「アイソグラッド」の意味・わかりやすい解説
アイソグラッド
isograd
広域変成帯や接触変成帯で,ある特定の鉱物が最初に出現する地点,あるいは消滅する地点を結んだ線または面のこと。岩石が変成作用を受ける場合,温度や圧力が変化するのに伴って変成鉱物が一定の順序で出現し消滅している。そこで適切な鉱物(指示鉱物)を選び,その出現や消滅を調べることによって変成岩が形成されたときの温度や圧力を推定できる。変成帯をアイソグラッドで区分することを変成分帯と呼び,そのようにして作られた図を変成分帯図と呼んでいる。変成作用で形成された岩石は多くの場合,化学平衡論から取り扱うことができる。このようなときには,アイソグラッドを自由度1の同種の化学平衡にある岩石の産出する地点を結んだ線(面)と定義する。自由度1の化学平衡というのは化学成分の数より鉱物種の数が一つ多い状態を指す。アイソグラッドの例としては泥質変成岩のザクロ石アイソグラッドやケイ線石アイソグラッドが有名である。
執筆者:鳥海 光弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報