アイソグラッド
isograd
変成帯において同一化学組成の岩石で,指標鉱物や特定の鉱物組合せが出現または消滅する地形図上の地点を連ねた線。C.E.Tilley(1924)定義。これを基に,変成帯はいくつかの帯に変成分帯できる。アイソグラッドを用いた最初の変成分帯はG.Barrow(1893)によってスコットランド高地で行われた。累進変成地域における指標鉱物の出現や消滅に基づくアイソグラッドは鉱物アイソグラッドと呼ばれ,温度・圧力・化学組成だけでなく,流体相の化学ポテンシャルなどにも支配された化学反応により規定される。このため変成分帯は,指標鉱物の分布によるのではなく,鉱物を形成した化学反応に基づいて行われる必要がある。H.G.F.Winkler(1979)は,指標鉱物が出現しはじめる線上で,ある特定の化学反応が確認できる場合のみをアイソグラッドと再定義し,これを反応アイソグラッドと呼んだ。鉱物アイソグラッドによる分帯と反応アイソグラッドによる分帯が一致するには,岩石の化学組成や流体相の化学ポテンシャルがほぼ一様である必要がある。
執筆者:端山 好和・小山内 康人
参照項目:指標鉱物
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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アイソグラッド
isograd
広域変成帯や接触変成帯で,ある特定の鉱物が最初に出現する地点,あるいは消滅する地点を結んだ線または面のこと。岩石が変成作用を受ける場合,温度や圧力が変化するのに伴って変成鉱物が一定の順序で出現し消滅している。そこで適切な鉱物(指示鉱物)を選び,その出現や消滅を調べることによって変成岩が形成されたときの温度や圧力を推定できる。変成帯をアイソグラッドで区分することを変成分帯と呼び,そのようにして作られた図を変成分帯図と呼んでいる。変成作用で形成された岩石は多くの場合,化学平衡論から取り扱うことができる。このようなときには,アイソグラッドを自由度1の同種の化学平衡にある岩石の産出する地点を結んだ線(面)と定義する。自由度1の化学平衡というのは化学成分の数より鉱物種の数が一つ多い状態を指す。アイソグラッドの例としては泥質変成岩のザクロ石アイソグラッドやケイ線石アイソグラッドが有名である。
執筆者:鳥海 光弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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岩石学辞典
「アイソグラッド」の解説
アイソグラッド
ティレーによって導入された考え方で,エスコラの鉱物組合せによる鉱物相に対して,ティレーは岩石が変成作用により異なった程度を示すものとして変成度(grade)を考えた.ティレーは野外のデータを重視して岩石で変成作用の程度を分け,それぞれの帯は温度圧力条件で決まることを示唆した.バロウ型変成帯の境界は,岩石の中で変成作用の圧力と温度が類似した値の地点を結んだ線を表すものと考え,これをアイソグラッドとした.特定の鉱物によって特徴づけられるアイソグラッドは,変成度が増大する場合にまず一番先に出現する鉱物を示すものである[Tilley : 1924].それぞれの変成度の境界は,化学反応に対する単変系の平衡な温度,圧力面(isograd surface)と地表面との交線によって表される.二つのアイソグラッドの間の地域に産する岩石が変成帯(metamorphic zone)となる.アイソグラッド面は変成作用の地帯の限界を決め,類似した物理条件の下で形成された岩石はアイソグレイド(isograde)とよばれる.実際の鉱物は複雑な化学組成を持つのでどのような化学反応で形成されたか決定することは難しく,アイソグラッドの概念は理想的な場合のみに適合する.
出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報
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