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アナーヒター アナーヒターAnāhitā

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アナーヒター
Anāhitā

古代ペルシア神話における聖なる水の女神。フルネームは,Aredvi Sūra Anāhitā。 Aredviは「湿りけのある」,Sūrāは「強い」,Anāhitāは「純潔な」の意。同名の河を神格化した大女神で,インドサラスバティー女神と共通点が多い。星の間に住み,勇気ある高貴さをそなえて,4頭立ての戦車に乗って進み,悪魔や暴君などを打負かす。また,自然と生物の多産を約束し,鳥獣や牧場を保護し,王権の守護者でもある。痩身の処女で,星飾りのある金の冠と耳飾り首飾りをつけているといわれるが,この女神本来の姿かどうか明らかではない。小アジアでは,ギリシアの Anaitisの形で崇拝された。

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世界大百科事典 第2版の解説

アナーヒター【Anāhitā】

ゾロアスター教の主要神格のひとつで,ヒンドゥー教サラスバティーに対応する,水と水流の女神。また,生殖・繁栄の神。アナーヒターとは本来〈清浄な〉の意。アベスターによれば,力強い色白の腕を有し,四角い黄金の耳飾と星をちりばめた金の頭飾を身に付け,帯を高く締めた美しい乙女の姿をしている。イスラム以後は,ナーヒードNāhīdという形でもっぱら金星を指すことになった。【上岡 弘二】

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世界大百科事典内のアナーヒターの言及

【川】より

… インドとイランでは川は女神と見なされた。古くは特に,インドではサラスバティー,イランではアナーヒターと呼ばれた神話的聖河が,大女神として崇拝された。後代のヒンドゥー教の信仰の中で最大の位置を占める聖河はガンガーだが,神話によればガンガーという名のこの川の女神は,もとは大神ビシュヌのかかとから流れ出て天界にいたが,あるときバギーラタという王が行った非常な苦行の功徳によって地上に下ることを余儀なくされた。…

【生命の樹】より

…聖獣のかわりに女神を配したものは,いわゆる〈樹下美人図〉と呼ばれる文様で,正倉院の《鳥毛立女屛風(とりげりつじよのびようぶ)》は有名である。このモティーフはイランのハオマの豊穣の女神アナーヒターとの結びつきから生じている。インドでは聖樹にヤクシーがまといつく表現がなされている。…

【パルティア】より

…アルサケス朝は宗教的寛容政策を採り,メソポタミアではイランやセム,ヘレニズムの諸要素を折衷した諸信仰が成立した。帝国内において最も広く崇拝されたのはミトラ神で,アナーヒター女神も各地に神殿を有していた。ゾロアスター教はイラン人の間に信仰され,伝承によればウォロゲセス1世の時代にアベスターの編集が行われたという。…

※「アナーヒター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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