アブドアルカリーム(英語表記)`Abd al-Karīm

改訂新版 世界大百科事典 「アブドアルカリーム」の意味・わかりやすい解説

アブド・アルカリーム
`Abd al-Karīm
生没年:1882?-1963

モロッコリーフ戦争の指導者。アブデル・クリムAbdel Krimとも呼ばれる。1912年以降モロッコはフランスとスペインの間で分割され,その植民地になったが,リーフ地方にはスペインの支配が完全に及んでいなかった。アブド・アルカリームは,征服戦争を進めるスペイン軍に対する抵抗運動の指導者であり,21年に反攻に転じてリーフ地方の支配権を奪回し,23年リーフ共和国の樹立を宣言,大統領となった。25年にフランス領に戦闘が拡大したことから,両国軍の共同作戦に直面して劣勢に陥り,翌年5月に降伏した。リーフ戦争は第1次世界大戦後に列強がつくり上げた戦後体制への挑戦でもあり,国際連盟やコミンテルンのあり方に問題を投げかけるものであった。アブド・アルカリームは,降伏後レユニオン島に幽閉されたが,47年に脱走してエジプトに亡命し,カイロで北アフリカ解放委員会を設立,マグリブ諸国の民族運動の連携に貢献した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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