改訂新版 世界大百科事典 「アマノリ」の意味・わかりやすい解説
アマノリ (甘苔/甘海苔)
laver
Porphyra
浅草のりや佃煮の原料となる紅藻ウシケノリ科アマノリ属の総称名で,主な種類にアサクサノリ,スサビノリなどがある。熱帯域を除く世界各地の沿岸に分布する。体は膜質,紅紫色で,形はササの葉の形や不規則な円形のものなどが多い。大きさは種類によりまちまちであるが,10~20cmのものが多く,また20cm以上になるものや,5cm以下のものもある。日本沿岸には約20種類が生育し,体が1層の細胞からできている種類(アサクサノリ,スサビノリ,ウップルイノリ,オニアマノリなど)と2層の細胞からできている種類(タサ,フイリタサ,ベニタサなど)がある。一般に1層の体のものは質が柔らかく美味である。いずれの種類も細胞は星状の葉緑体と1個の核をもつ。
冬から春に卵細胞と精子をつくって有性生殖を行う。その結果できた果胞子は貝殻などにつくと発芽して穿孔し,糸状のいわゆるコンコセリスconchocelis体として夏を過ごす。
執筆者:千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報