アルトア(英語表記)Artois

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アルトア
Artois

フランス北東部の地名。旧州。パドカレー県の海岸を除いた地域にほぼ相当する。南のピカルディーとの境にアルトア丘陵があり,北にノールに続く炭田地帯を控えている。アルトアの地名は中心都市アラスの名と同じく,カエサルの時代にこの地に居住していたアトレバト人に由来する。9~12世紀にはフランドル伯領。 1180年フランス王領となり,1329年ネーデルラントのブルゴーニュ家領,1500年以後ハプスブルク家領を経て,三十年戦争 (1616~48) の間にフランスに占領され,ピレネー条約 (59) により正式にフランスへの併合が承認された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アルトア
あるとあ
Artois

フランス北部の旧州名。現在のパ・ド・カレー県に相当する。海岸部のカレーからアラスの南部まで帯状に延びるアルトア台地の範囲に一致する。旧州都はアラス。この地方が、北のフランドル平野と南に位置するピカルディー平野を分断しており、西部は炭田地帯へとつながる。地形は波状の起伏がある。
 当地方は南部と北部の二つに分けることができる。南部のうち、北西部は南東部に比較して標高が高く、最高点は209メートルを示す。小麦をはじめ、穀物とテンサイの大規模な農業が、白亜紀層の泥土質の土壌に展開する。北部には標高わずか100~150メートルの丘陵がフランドル平野のなかに連なる。リス川右岸には「黒い地方」Pays noirとよばれる石炭層があり、炭田、工業地帯が広がる。当地方の東側は、平野に砂質の丘陵地が連なる。最西部にはゴエール平野が広がり、アラスを中心として泥土質の肥沃(ひよく)な土壌に農業地帯が形成されている。
 北フランスにおける歴史の古い地方で、5世紀にフランドルの一部であったが、ルイ8世の時代にフランスに併合された(1223)。一時ドイツのハプスブルク家の所領ともなったが、1659年のピレネー条約でフランス領に戻った。第一次世界大戦では、ここで3回の戦闘が行われた。[高橋伸夫]

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