改訂新版 世界大百科事典 「アングロサクソン年代記」の意味・わかりやすい解説
アングロ・サクソン年代記 (アングロサクソンねんだいき)
Anglo-Saxon Chronicle
イングランド中世前期の政治・軍事史に関する最も重要な史料。紀元元年から編年的に各年におこった主要事件を古英語で記しているが,史料的に重要なのは5世紀なかば以後の部分である。9世紀後半アルフレッド大王のもとで,古い伝承や記録またベーダの《イギリス人の教会史》などの歴史書を材料として編纂されたものが原本で,以後いくつかの教会・修道院で書きつがれた。大別して7種の写本(うち1種にはラテン語訳が付される)と2種の断片が現存するが,うち《パーカー年代記Parker Chronicle》《アビンドン年代記Abingdon Chronicle》《ウースター年代記Worcester Chronicle》《ピーターバラ年代記Peterborough Chronicle》の4種が原本に近く,史料的価値が高いといわれる。
執筆者:青山 吉信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報