アンジロウ(読み)あんじろう(その他表記)Anjiro

精選版 日本国語大辞典 「アンジロウ」の意味・読み・例文・類語

アンジロウ

  1. ( Angero ) 日本最初のキリシタン信者。薩摩の人。マラッカに渡り、ザビエルに会って入信。天文一八年(一五四九)ザビエルを伴って帰国し、各地伝道彌次郎、安次郎と宛てられたが、正確な日本名は不明。生没年不詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンジロウ」の意味・わかりやすい解説

アンジロウ
あんじろう
Anjiro
(1512/1513―?)

日本人で最初のキリシタン。ヤジロウ、アンゼロなどの説がある。鹿児島生まれの商人、もしくは薩摩(さつま)水軍に属する武士といわれる。故郷で殺人を犯して東南アジアに逃亡中、ポルトガル船長アルバレスJorge Álvaresに同行してマラッカに渡り、1547年(天文16)フランシスコ・ザビエルに引き会わされた。ザビエルはアンジロウを知って日本布教を決意し、翌1548年彼をゴアの聖パウロ学院に1年間入学させた。そこで彼は受洗し、「パウロ・ダ・サンタ・フェ」(聖なる信仰のパウロ)という洗礼名をもつ日本人初のキリスト教徒となった。1549年8月15日、ザビエルを案内して鹿児島に上陸した。彼はザビエルを島津貴久(しまづたかひさ)に引き会わせ、日本語教師として、あるいは『使徒信経』『教理提要』『聖書』の一部分の翻訳に従事したりして、ザビエルの活動を助けた。また自分の家族、親類、友人たちを改宗させたが、1551年初頭に信仰を失い、中国に渡って寧波(ニンポー)で盗賊に殺されたという。キリスト教伝来の直接の契機をつくった彼の名は、日本キリスト教史のうえに刻まれねばならない。

[宮崎賢太郎 2018年3月19日]

『海老沢有道著『増訂 切支丹史の研究』(1971・新人物往来社)』『フーベルト・チースリク著『世界を歩いた切支丹』(1971・春秋社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンジロウ」の意味・わかりやすい解説

アンジロウ

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