改訂新版 世界大百科事典 「アンモノリシス」の意味・わかりやすい解説
アンモノリシス
ammonolysis
加安分解ともいう。液体アンモニア溶媒中で起こる加溶媒分解(ソルボリシス)で,水中での加水分解に対応する。無機化合物または有機化合物がアンモニアと反応して,アミド,イミン,ニトリルなど,アミノ基-NH2,イミノ基NHをもつ化合物を生成する反応をいう。無機化合物では,式(1)に示すように,金属塩化物中の塩素原子1個がアミノ基に置換される例などがある。
HgCl2+2NH3─→Hg(NH2)Cl+NH4Cl ……(1)
有機化学においては,アンモニアによるアミノ基の導入反応(アミノ化)をさす場合が多い(式(2))。
RX+NH3─→RNH2+HX ……(2)
試薬に使われるアンモニアは,液体アンモニアのほかに,水溶液または有機溶媒の溶液として使われるが,気相で反応させることもある。カルボン酸のエステル,塩化物,無水物などをアンモニアと反応させると,工業原料として重要なアミドが得られる。
執筆者:友田 修司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報