イオン対(読み)いおんつい

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

イオン対
いおんつい
ion pair

溶液中で陰陽両イオンがとくに接近してつくる会合体。また、その現象あるいは状態をイオン会合ion associationという。溶媒の誘電率が低く、イオン半径が小さく、イオン価の大きいイオンのときにイオン対が生成しやすい。イオン濃度が高くなるほど、生成しやすくなるのも当然のことである。イオン対がさらに他のイオンと会合したり、イオン対どうしが会合したりすることもある。見かけ上、イオンへの電離度が減少するため、導電率や粘性が完全に電離した場合とは異なる値を示す。気相中では、分子の電離によって生じた陰陽両イオンの1組をイオン対ということがある。[岩本振武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のイオン対の言及

【海水】より

… 2価のイオン,例えばマグネシウムイオンMg2+と硫酸イオンSO42-になると,溶液中で単独の水和イオンとして存在するとともに,イオン間に引きあう力が働いて接近し,見かけ上,電荷をもたない硫酸マグネシウムMgSO40となっている部分ができる。これをイオン対と呼んでいる。また,食塩水中に銀イオンAgが入ると,銀イオンと塩素イオンとの間にイオン対よりも強固な結合の錯イオンAgCl2ができる。…

【電解質】より

…水中に電解質が溶けているかどうかを知る方法の一つとして,水質検査などで測定,利用されている。電解質の水溶液中では陽イオンと陰イオンがほぼ完全に解離する場合と,陰,陽イオンが静電的に作用しあって両イオンが対(イオン対)をなしていることがある。 水素イオンや水酸化物イオンを含まない電解質を水に溶かすとき,その溶液が(1)酸性を示す場合,(2)中性を示す場合,(3)アルカリ性を示す場合がある。…

※「イオン対」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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