イタロ=ケルト語派(読み)イタロ=ケルトごは(その他表記)Italo-Celtic languages

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イタロ=ケルト語派」の意味・わかりやすい解説

イタロ=ケルト語派
イタロ=ケルトごは
Italo-Celtic languages

インド=ヨーロッパ語族イタリック語派ケルト語派がいくつかの共通点をもつことから,2つをまとめて1つの語派にすることができるとして,A.メイエらが主張した語派。有力な根拠として,印欧共通祖語*kw が保たれているという共通点をラテン語アイルランド語がもち,一方オスク語,ウンブリア語ブリソニック諸語*kw がpに変化したという共通点をもつことがあげられる。そのほかにも文法上の共通点はあるものの,語彙の対応が不十分なため,この語派を否定する学者も多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イタロ=ケルト語派」の意味・わかりやすい解説

イタロケルト語派
いたろけるとごは

インド・ヨーロッパ語族に属するイタリック語派とケルト語派の二派が、もと一つであったという仮説。その主たる根拠は、祖語に想定されるkw(kの閉鎖にwの唇の丸めを伴った一つの音)がイタリックのラテン語ではq、オスク・ウンブリア語ではp、同じくケルトのアイルランドではq、ウェールズ語ではpと、ともに同じような割れがあり、他の事項にも同じ割れの現象がみられること、両語派は共通してo語幹属格単数の語尾にī、動詞の受身の語尾にrを示すことなどである。

 この説はフランスのメイエA. Meilletによって強く支持されたが、インド・イラン語派のように、この両派の単一時代を想定することは総合的にみると疑問である。

[風間喜代三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のイタロ=ケルト語派の言及

【イタリック語派】より

…以上のほか,古代イタリアの北東部で行われていたベネト語がイタリック語派と近い関係にあることが近年の研究により指摘されている。一方,イタリック語派とケルト語派とのつながりを強調し,両者をひとまとめにできるとしたイタロ・ケルト語派説は定説となるにいたらず,また,オスク・ウンブリア語群とラテン・ファリスキ語群との間に見られる類似と相違をどう解釈するかにより,両語群の間に起源的な統一状態(原イタリック語)が存在したかどうかについて,学者間の意見が分かれている。オスク・ウンブリア語ラテン語【長神 悟】。…

※「イタロ=ケルト語派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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