祖語(読み)ソゴ

デジタル大辞泉 「祖語」の意味・読み・例文・類語

そ‐ご【祖語】

互いに親縁関係にある諸言語の源になる言語。ロマンス諸語に対するラテン語の類。
一宗一派の開祖言葉

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精選版 日本国語大辞典 「祖語」の意味・読み・例文・類語

そ‐ご【祖語】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。一宗の開祖や列祖師のことば。
    1. [初出の実例]「一部の文句性相を、仏言祖語に擬すべからず」(出典:正法眼蔵(1231‐53)転法輪)
  3. 互いに親族関係にある諸言語の源である言語。たとえば、フランス語イタリア語スペイン語などのロマンス諸語に対するラテン語をいう。共通基語
    1. [初出の実例]「即ち欧洲各国語の祖語たるを知れり」(出典:明六雑誌‐二五号(1874)知説五〈西周〉)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「祖語」の意味・わかりやすい解説

祖語
そご
protolanguage

共通基語ともいう。一つの言語が時代とともに分裂して変化し,長い時間ののちに2つ以上の異なる言語となったとき,もとの言語を祖語という。たとえば現在のフランス語,スペイン語,イタリア語などはラテン語がそれぞれの変化をとげてできた言語であることがわかっていて,ラテン語はこれらの諸言語の祖語であるといい,これらの諸言語は同系,あるいは親縁関係を有するという。さらに,ラテン語は,ギリシア語サンスクリット語などとともに,より古い時代の単一な言語がそれぞれの変化をとげてできた言語と推定され,これを印欧祖語という。同じ祖語から分れた諸言語は一つの語族に属するという。 (→比較言語学 )  

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百科事典マイペディア 「祖語」の意味・わかりやすい解説

祖語【そご】

同系諸言語(語族)の源となった言語。スペイン語,フランス語,イタリア語などはラテン語を祖語とする。実際文献がない場合にも,同系であることが確認されれば,その源となった言語を理論的に想定する。印欧諸語の共通基語の再建はその代表的なものである。
→関連項目言語系統

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「祖語」の意味・わかりやすい解説

祖語
そご
proto-language 英語
Ursprache ドイツ語

比較言語学の用語系統を同じくする諸言語の共通の源となった言語のことで、「共通基語」「原始語」ともいう。たとえば、ロマンス諸語に対するラテン語がそれにあたる。しかし、多くの場合、このような祖語は失われて伝わらず、現存する同系諸語の資料を用いてそれを理論的に再構する必要がある。このような手段を比較方法と称し、とくに印欧語の領域で目覚ましい成果を収めた。

[松本克己]

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世界大百科事典(旧版)内の祖語の言及

【言語】より

…したがって,何を発展とするかを言語の根幹部分について明言できるには,どのような構造が言語として最良なのかという困難な問題を解かねばならず,現時点での言語に関する知識では,それは多分不可能であろう。 同一言語の方言差の発展として生じた複数の言語は互いに〈系統関係〉を有するといい,もとの言語を〈祖語〉と呼ぶ。互いに系統関係を有する言語の集合を〈語族〉と呼ぶ。…

【言語学】より

…通時言語学の一つの分野で,個々の単語などの語源を追及する分野を〈語源学〉(〈語源〉の項を参照)と呼ぶ。 同一の言語から分岐して成立した複数の言語(方言)の比較によって,もとの言語(〈祖語〉)の姿を推定(〈再建〉)したり,分岐の過程を推定したり,あるいは,同一の言語から分岐した可能性のある複数の言語を比較して,それらが同一の言語から生じたこと(系統的親近関係の存在)を証明しようとする分野を〈比較言語学〉と呼び,そこで用いられる方法を〈比較方法〉と呼ぶ。音韻変化がおおむね規則的であることが最もよく利用される。…

【シュライヒャー】より

…言語学は,言語を話す民族の歴史的な運命と直接関係することなく,言語そのものを対象にする学問で,それは自然史の一部をなし,その研究は自然科学の方法によるべきである,と彼は考えていた。ワイマールで刊行された大著《印欧語比較文法要説Compendium der vergleichenden Grammatik der indogermanischen Sprachen》(1861‐62,4版1876)において,彼はF.ボップにはじまる印欧語(インド・ヨーロッパ語族)研究を集大成すると同時に,比較によってそれぞれの形の原型を求め,理論的にインド・ヨーロッパ語の共通基語(祖語)Urspracheを再建するという新しい試みを展開した。そしてその共通基語からインド・ヨーロッパ諸語がどのように分化したかを,木の幹が枝分れしていくように,1本の系統樹Stammbaumに描いた。…

※「祖語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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