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インクナブラ incunabula

翻訳|incunabula

世界大百科事典 第2版の解説

インクナブラ【incunabula】

ラテン語で〈おむつ〉〈出生地〉〈初め〉の意。そこから1500年以前の西洋の印刷物の,いわば発生期のものを総称するようになった。日本ではインキュナブラと呼ぶことが多い。一枚刷り木版画は14世紀末からつくられ,1500年ごろまでにおよそ1万点現存する。その大部分は宗教的主題であり,世俗的なカルタ(遊戯札)は15世紀中期以後に現れる。その技法はおもに凸版の板目木版であり,15世紀中期からクリブレ版と呼ばれる金属凸版も一時的に現れ,また同じころ凹版の彫刻銅版が現れて,これが以後の西洋版画の主流を形成することになる。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

世界大百科事典内のインクナブラの言及

【医学】より

…ドイツで最初に刊行された医学書はドイツ語の《養生保健書》(1472),イタリアでもイタリア語の外科書(1485),イギリスでは一般人向けのペスト対策書(1485)である。15世紀に出版された印刷物のことを書誌学ではインクナブラという。数にして3万8000点ほどあり,うち医学に関するものは1500点,さらに単行書といえるのはその約半数である。…

【イラストレーション】より

…イタリアのA.マヌティウスの印行による《ポリフィルスの夢》(1499)などがその代表である。1500年までにつくられたインクナブラ(古版本)には,木版を中心とする多くのイラストレーションが入っている。16世紀には木版によるイラストレーションの黄金時代を迎える。…

【本】より

…これらの数字は,1900‐30年までの30年間に,イギリス聖書協会が聖書2億3700万部を発行したのに比べるとものの数ではないが,活字印刷術が創始されてまだ100年にもなっていない事実を考え,さらにその前のながい手写本時代を顧みると,驚異的な記録といわなければならない。ヨーロッパ全土を通じて15世紀中に出版された書物,いわゆる揺籃(ようらん)期本(インクナブラ)の表題はおそらく3万を上まわり,しかもそのなかには300版以上を重ねたものもあるから,実際の出版部数はおびただしい。それらのうち,今日なお愛読されているのは《イミタティオ・クリスティ》だけで,土地の所有権を論じたリトルトンの著述などは当時のベストセラーであったにもかかわらず,完全に忘れ去られた。…

【木版画】より

…15世紀中期からは遊び札(カルタ)やお守りの聖者像版画はより大衆化して粗雑な形体をもち,陰影をつけるために粗い平行線をいれ,無彩色が普通になる。印刷本では版木に文字や挿絵を彫った初期のものには優れたものもあり,また初期の活字本もきわめて優れているが(インクナブラ),活字本の広がりにともなって,粗雑な挿絵入本も現れる。16世紀には木版挿絵入本は安定した様式をもつようになるが,ベネチアでは15世紀末に輪郭線を生かした洗練された挿絵本をつくる。…

※「インクナブラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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