ウィチョル(読み)うぃちょる(英語表記)Huichol

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィチョル」の意味・わかりやすい解説

ウィチョル
うぃちょる
Huichol

メキシコのハリスコ州とナヤリート州北部の西シエラ・マドレ山脈に住むウト・アステカ語族の先住民(インディオ)。焼畑にトウモロコシマメカボチャなどを栽培している。伝統的には自治共同体(コムニダード)を形成し、各共同体は祭祀(さいし)センターを中心にいくつかの集落ランチェリア)からなる。集落はたいてい親族関係にある数家族からなるが、家と家は互いに歩いて数時間かかるぐらい離れている。相続、出自は双系的で、親族も双系的な関係が重視される。ほとんどが一夫一妻であるが、一夫多妻もみられる。結婚後約1年間夫は妻方で働き、その後新しい家を建てて妻とともに移る。キリスト教の影響下にあるものの、いまも彼ら独自の宗教を維持している。重要な神は火の神(祖父)、太陽の神(父)、大地と水の神(母)であり、またシカは兄とよばれ神聖視されている。彼らの宗教でとくに有名なのはペヨーテ信仰とよばれるもので、ペヨーテという名のサボテンの一種を食べて恍惚(こうこつ)状態となり、その間に神と交流し、理想郷幻影をみる。ウィチョルの歴史は不明だが、スペインによる征服後、メキシコ中北部から現在の地に移住してきたと考えられている。

[板橋作美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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