① ウリ科のつる性一年草。アメリカ大陸原産で、植物学上ニッポンカボチャ、クリカボチャ、カザリカボチャの三種に分けられる。その一種、ニッポンカボチャは、いちばん古く天正年間(一五七三‐九二)中国を経て九州に渡来し、その後日本各地に広まり、重要な野菜となった。茎は長いつるとなって地をはい、巻きひげがある。葉は互生し、大形の心臓形で縁が浅く五裂する。夏、花冠の五裂した黄色の花が咲く。単性花で雌花の子房は大きくふくらんでいる。花後、ひょうたん形や扁球形の大形の果実を結ぶ。果実と種子は食用となる。本種ははじめカンボジア原産と考えられていたので、この名があるという。とうなす。なんきんボーブラ。ひゅうがうり。カボチャうり。《 季語・秋 》
▼カボチャの花《 季語・夏 》 〔倭語類解(17C後‐18C初)〕
② 顔がみにくく、品のない者。人や身体の部分をさす語の前に付けても用いる。「カボチャあたま」「カボチャやろう」など。
クリカボチャC. maxima Duch.はセイヨウカボチャともいう。茎の断面は円く、葉は切れ込みが浅く、淡緑色で白斑がない。果柄は円筒状で条線があり、ニホンカボチャと違って成熟しても柔らかい。果実はおもに大形で表面が滑らか。果肉はやや粉質。渡来は1863年(文久3)アメリカから。冷涼地の栽培に適し、北海道、東北地方、長野県などに多い。現代の食の嗜好(しこう)にはニホンカボチャよりクリカボチャが適するので、ニホンカボチャの栽培は減り、クリカボチャのほうが増えている。品種群にはハッバード、デリシャス、ターバン、マンモス、芳香青皮甘栗(東京早生(わせ))などがある。
ウリ科の一年草で,アメリカ原産の数種をまとめていう。食用や観賞用に栽培される。茎は普通つるになり,花は大きく黄色,雌雄同株である。果実は大小,形状,色など変化に富んでいる。またデンプンや糖分に富み栄養価も高いので野菜用とともに主食にもする。カボチャの名はインドシナのカンボジアに由来し,別名の唐茄子 (とうなす) は中国から来たナスという意味である。大別して次の3種がある。ニホンカボチャ C. moschata,クリカボチャ C. maximaはいずれも食用に,またカザリカボチャ C. pepoは食用にするほか果実が小型で形も変ったものが多く,装飾や供え物に使われる。