ペヨーテ(英語表記)peyote

翻訳|peyote

百科事典マイペディアの解説

ウバタマ(烏羽玉)とも。サボテン科メキシコ〜北米南西部に分布するサボテンメスカリンを含み,生食すると幻覚症状に陥る。メキシコの先住民ウイチョル族などが宗教儀礼に用いてきたが,18世紀ころからは北米各地のインディアンアメリカ・インディアン)に広まった。メスカリンはLSDと似た作用を有し,A.ハクスリー,H.ミショー,J.P.サルトルなども服用してその意識経験の意味を評価,1960年代アメリカの若者に愛用された。→向精神薬
→関連項目アルトー幻覚薬

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世界大百科事典 第2版の解説

メキシコ北部から合衆国テキサス州のメキシコ国境あたりに自生するサボテンの1種Lophophora williamsiiで,生食すると極彩色の幻覚をみることで有名。もともとメキシコの原住民ウイチョル族Huicholなどによって宗教儀礼の一部として用いられていたが,18世紀に入るとアパッチ族にペヨーテを用いる宗教が入り,彼らからアメリカ各地のインディアンに伝えられた。ペヨーテという語はナワトル語のペヨトルpeyotlから派生したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

北アメリカ大陸のリオ・グランデ渓谷以南に成長する、アルカロイドを含有する植物で、これを食べると幻覚症状をおこす。ペヨーテという語は、メキシコの先住民の言語の一つナワトルNahuatl語で、ウバタマサボテンLophophora williamsii Lemaireを意味するペヨトルpeyotlに由来する。白人に征服される以前からアステカ、ウィチョルその他のメキシコ・インディオとよばれたメキシコ先住民は、これを宗教的目的のために食べていたが、この習慣は約1870年以後北アメリカ先住民(インディアン)とくに平原先住民にも伝播(でんぱ)した。北米南西部先住民においてペヨーテ崇拝はシャーマニズムや妖術(ようじゅつ)信仰と密接に関連するようになった。ウィチョル社会では、毎年、シャーマンをリーダーとする集団が、昔先祖が住んでいたという聖地まで数百マイルを歩いてペヨーテをとりに行く。[吉田禎吾]

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世界大百科事典内のペヨーテの言及

【ウイチョル】より

…マラカメは祈禱医でもあり,邪術師でもある。10~2月の乾季には,ペヨーテという幻覚作用のあるサボテンを採集するために,サン・ルイス・ポトシ州などに数百kmに及ぶ巡礼に赴く。これを食べて恍惚状態になった男女は,大猟と豊饒を祈願する儀礼的舞踏をする。…

【幻覚薬】より

…精神展開薬は化学的に,(1)β‐フェネチルアミン(メスカリンアンフェタミンなど),(2)インドール系物質(ジメチルトリプタミン(DMT),サイロシビン,ハルミンなど),(3)副交感神経薬(アトロピン,フェンサイクリジンなど),(4)リゼルギン酸誘導体(LSD‐25など),(5)その他(笑気,ナツメグ,マリファナ,バナナの皮など)に分類されるが,作用の強弱によってマイナー・サイケデリクスとメジャー・サイケデリクス(メスカリン,LSD,サイロシビン,DMT,STP,JB‐329など)とに二大別されることもある。
[幻覚薬の研究史]
 中央アメリカでは古くからペヨーテなどの幻覚を起こす植物が知られていて宗教や儀式に使われてきた。キリスト教の伝道者がこれを悪魔的なものとして追放しようと努めたが,インディオたちがキリスト教に改宗してからも,こうした植物に対する信仰は残った。…

【サボテン】より

…メキシコではツナの果肉を固めたお菓子ケソ・デ・ツナやエキノカクトゥス属の茎の砂糖漬ドゥルセ・デ・ビスナガが市販されている。ウバダマはメキシコではペヨーテと呼ばれ,アルカロイドの一種で幻覚症状を引き起こすメスカリンを含み,古代から儀式に使われた。日本では麻薬の扱いを受け,輸入できない。…

【メスカリン】より

メキシコ産の小さなサボテンLophophora williamsiiからとれる精神展開薬で,幻覚を起こす。メキシコやアメリカ南西部のインディアンが,このサボテンの先端を切って乾かしたペヨーテを食べて神の実在を体験するために,16世紀中ごろから使用していた。1890年,エリスH.EllisとミッチェルW.Mitchellがこのペヨーテを研究し,96年,ベルリン大学薬理学教授のヘフターArthur Hefter(1860‐1925)と向精神薬研究の第一人者のレビンLouis Lewin(1850‐1929)が有効成分のメスカリンを分離した。…

※「ペヨーテ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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