エウスタキオ(英語表記)Bartolommeo Eustachio

改訂新版 世界大百科事典 「エウスタキオ」の意味・わかりやすい解説

エウスタキオ
Bartolommeo Eustachio
生没年:1520か24-74

イタリアの医者でローマの大学教授。A.ベサリウスやG.ファロピオと同時代の解剖学者で,耳管,胸管などの発見者。著書《Tabulae anatomicae(解剖学図譜)》(1552執筆)は彼の急逝で出版されず,1714年法王の侍医ランチージG.M.Lancisiが出版した。本書銅版画ベサリウスの《ファブリカ》をしのぐほどみごとで,交感神経,歯牙,顔面筋,喉頭,副腎などの図解がある。いまもエウスタキオ管耳管,欧氏管)やエウスタキオ弁(下大静脈弁)の呼名がのこされている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エウスタキオ」の意味・わかりやすい解説

エウスタキオ
Eustachio, Bartolomeo

[生]1524? サンセベリノ
[没]1574.8. フォソンブローネ
イタリアの医師,解剖学者。ローマ大学の解剖学教授,ローマ教皇の侍医でもあった。近代解剖学の創始者の一人で,耳管や心臓の弁など,数多くの部位を正確に記載した。 1552年に世界最初の銅版解剖図を完成。これは交感神経系をみごとに描いていることで注目されている。 1714年に出版され,日本でも幕末に杉田梅里によって翻訳された。

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世界大百科事典(旧版)内のエウスタキオの言及

【解剖学】より

…その後このようないきさつでパドバを中心に解剖学が急速に進歩することになる。エウスタキオ(耳管Eustachian tubeに名が残る),ファロピオ(卵管Falloppian tubeにその名が残る),ファブリキウス(アクアペンデンテの),アランティウスJ.C.Arantius(1530‐89),バロリオConstanzo Varolio(1543‐75)などつぎつぎと立派な解剖学者が生まれ多くの発見がなされた。ちなみに血液循環の原理を発見したハーベーはベサリウスの孫弟子であるファブリキウスの弟子にあたる。…

※「エウスタキオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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