中耳の鼓室の前壁にある鼓室口から始まり、咽頭(いんとう)鼻部(鼻腔(びくう)後方)の外側壁にある耳管咽頭口に開く長さ36ミリメートルの管をいう。耳管の壁は、鼓室寄りの長さ12ミリメートルほどが骨からなり(骨性部)、咽頭寄りの24ミリメートルが軟骨と線維性結合組織からなっている。耳管軟骨は耳管壁の内側、上壁、外側壁を囲み(軟骨部)、下壁には結合組織がある(膜性板)。耳管の走る方向は前内下方であるが、乳幼児ではほぼ水平に走っている。さらに乳幼児では耳管が短いため、中耳炎がおこりやすい。耳管の太さは全体に一様でなく、耳管咽頭口でもっとも太く、鼓室口が次に太い。もっとも狭いのは骨性部と軟骨部との境(耳管峡)である。しかし、鼓室と咽頭とは耳管でつながれているため、鼓室の内圧は外圧と同じになっている。通常、耳管は閉鎖しているが、嚥下(えんげ)の際には口蓋帆挙筋(こうがいはんきょきん)と口蓋帆張筋が収縮し、耳管軟骨部の下壁が下方に引かれるので耳管が開く。耳管は、16世紀のイタリアの解剖学者で、ローマ法王の侍医でもあったユースタキーB. Eustachiiによってみいだされたため、ユースタキー管(エウスタキオ管、エウスターキョ管、欧氏管)ともよぶ。
[嶋井和世]
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…舌弓の要素であった舌顎骨は変形し,空気呼吸をする両生類に進化するとともに,それは鼓膜と内耳をつなぐ最初の耳小骨になり,外気の振動を内耳へ伝える聴音装置となった。そして,もとの鰓孔の深部は耳管(エウスタキオ管,欧氏管)として存続している。魚類では鰓孔や呼吸孔は開通するが,四足動物では開通せず,これを鼓膜がおおっている。…
…内耳ということばは,周囲の骨質なども含めたこれらの諸構造の全体を指すもので,魚類の耳はこれだけでできている。次に,内耳の外側に隣接した,空気の入っている中空の区域が中耳で,外壁をなす〈鼓膜〉,〈耳小骨(鼓室小骨)〉,耳小骨を収める空間である〈鼓室〉,鼓室腔を咽頭につなぐ〈耳管〉および周囲の諸組織から成っている。中耳は音の伝達に関与する部分であり,原則として四足動物の共有する特徴である。…
※「耳管」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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