知恵蔵「エコシステム」の解説
エコシステム
経済界のエコシステムでは、系列の違う複数の企業、時にはライバル関係にある企業が互恵関係を結ぶこともあり、この点で、生産・物流・販売など特定の活動で連携するアライアンスや、1つの商品を共同開発・共同製造するコラボレーションなどとは異なる。ただし、清涼飲料の日本コカ・コーラと紳士服のAOKIが新卒社会人を対象に展開した「GEORGIA×AOKIコラボキャンペーン」(2010年春)の「エコシステム・マーケティング」などのように、短期的あるいは限定的なシーンで用いられることもある。
IT分野では早くから、マイクロソフトのWindowsなど基本のOSを軸に、デベロッパー、ベンダー、サードパーティー、ユーザーが有機的に結びつき、共に成長していくエコシステムの収益モデルが提唱され、実際に成果を上げてきた。さらに最近は、高速通信網の拡充、無料OS・LinuxやGoogleの各種フリーサービスの普及などを背景に、これまでのOSを頂点とする垂直的な関係から、ベンチャーや一般ユーザーも含めた水平的な協力関係を重視する方向へとシフトしつつある。自然界の「生態系」が異質な構成要素によって良好な環境を維持させているように、多様な構成員の相互協力および平等な収益の循環が、エコシステムを健全に機能させる条件と見られる。
(大迫秀樹 フリー編集者 / 2010年)
エコシステム
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出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報