エフライム(その他表記)Ephraim

改訂新版 世界大百科事典 「エフライム」の意味・わかりやすい解説

エフライム
Ephraim

パレスティナ中央の丘陵地帯。原義肥沃な地〉が示すとおり,豊かな山林地帯で,今日もオリーブその他の果樹が多く生育し,南に伸びるユダ丘陵に比べるとはるかに緑が豊富である。古いイスラエルの伝承によれば,ヤコブの11番目の息子エジプト宰相となったヨセフと,エジプトのオンの祭司ポテペラの娘との間に生まれた息子のひとりがエフライムと名づけられた。彼を祖とする部族は,イスラエル部族連合の中でもユダと並んでとくに重要な立場にあり,地名はその子孫がこの地方に移住定着したことに由来すると思われる。モーセの後継者としてカナン侵入当時のイスラエルの民を率いたヨシュア,イスラエル王国成立のころ活躍した預言者サムエル,ソロモン専制に反抗したヤラベアムはいずれもエフライム族の出身。ソロモンの死後ヤラベアムがダビデ王朝を支持する南王国に対して北王国イスラエルを建てると,エフライムは北王国の別称ともなった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エフライム」の意味・わかりやすい解説

エフライム
Ephraim

イスラエルの族長ヤコブの子ヨセフがエジプトでもうけた子 (創世記 41・48~52) 。その子孫はエフライム部族を形成し,イスラエル 12支族中最大の氏族となった。領地はパレスチナ中央,ヨルダン川以西の肥沃な地方で,中心はシケム。エフライムの名の起源は,ヨセフがその息子を名づける際「豊かなる」というヘブライ語からとったといわれる (創世記 41・52) 。

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世界大百科事典(旧版)内のエフライムの言及

【イスラエル王国】より

…この政策に対する不満が直接の原因となって,ソロモンが死ぬと北方諸部族はダビデ家に背き,北イスラエル王国を建てた。 前928年ころ北イスラエル王国初代の王に選ばれたエフライム族出身のヤラベアム1世は,ダビデ家が支配するエルサレムの神殿に対抗して,ベテルとダンに王国の神殿を建立した。彼がこの両神殿に置いた金の子牛は,本来ヤハウェの足台であったと考えられるが,エルサレム神殿の立場をとる聖書記者は,これを偶像礼拝であるときめつけて非難した。…

※「エフライム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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