日本大百科全書(ニッポニカ) 「エンライト」の意味・わかりやすい解説
エンライト
えんらいと
Dennis Joseph Enright
(1920―2002)
イギリスの詩人。ケンブリッジ大学でF・R・リービスに学ぶ。卒業後、日本の甲南大学(1953~1956)をはじめ、エジプト、ドイツ、東南アジアなど世界各地の大学で教えた。1950年代「ムーブメント」派(1950年代のイギリスで活躍した、均整のとれた知的で平明な詩風をもつ詩人たちのこと)の一人として出発、抑制のきいた知的で軽妙な作風を特徴とし、エジプトや日本を題材にした作品も多い。処女詩集『笑うハイエナ』(1953)に続き、『ファウストの本』(1979)、『老人と彗星(すいせい)』(1993)などのほか、『全詩集』(1998)もある。批評家、エッセイストとして日本紀行『露の世界』(1955)、評論集『人間は玉ねぎ』(1972)その他があり、さらに小説、翻訳、回想記、詩選集を編むなど、きわめて多才な文学活動を続けた。
[川崎寿彦・上田和夫]