オニアサリ(その他表記)Notochione jedoensis

改訂新版 世界大百科事典 「オニアサリ」の意味・わかりやすい解説

オニアサリ
Notochione jedoensis

アサリに似て,殻表に太い肋のあるマルスダレガイ科の二枚貝。殻は比較的厚く,長さ5cm,高さ4.2cm,膨らみ3.2cmに達する。殻表は淡褐色で褐色の放射帯や斑があり,30~35本の太い放射肋がある。殻の縁は細かく刻まれる。北海道南部から九州潮間帯の砂れき底にすむ。磯物として採取して食用にする。ヌノメアサリNovathaca euglyptaはこの種に似るが,殻表に太い放射肋はなく成長脈も交わって布目状になる。東北地方や北海道に分布し,食用にする。メオニアサリNovathaca schenckiは殻表の放射肋は前方で強く,後方では弱くなる。本州から九州の太平洋岸に分布する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オニアサリ」の意味・わかりやすい解説

オニアサリ
おにあさり / 鬼浅蜊
ribbed little neck
[学] Notochione jedoensis

軟体動物門二枚貝綱マルスダレガイ科の二枚貝。北海道南部から本州を経てフィリピンにまで分布し、岩礁の間にたまっている砂礫(されき)底に潜入生活をしている。殻長50ミリメートル、殻高40ミリメートルに達し、殻は円形で厚く、殻表には太い放射肋(ろく)が30~35本あり、成長脈によってくぎられる。殻の地色灰褐色で、その上に褐色の不規則な色斑(しきはん)がある。内面は白く、鉸板(こうばん)に3個の主歯と前側歯がある。腹縁は細かく刻まれている。漁獲対象になるほど多産しないが、採取できる土地では食用にされる。

[奥谷喬司]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オニアサリ」の意味・わかりやすい解説

オニアサリ
Notochione jedoensis; ribbed little neck

軟体動物門二枚貝綱マルスダレガイ科。殻長 5cm,殻高 4.2cm,殻幅 3.2cm。殻は丸みがあり厚い。殻表には太い放射肋が 30~35本あり,灰褐色の地に黒褐色斑がある。内面は黄白色で,周縁に細かい刻みがある。北海道南部より九州,朝鮮半島,中国沿岸の潮間帯より水深 5mの砂礫性泥底にすむ。食用。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android