オブザーバー機構(読み)おぶざーばーきこう(英語表記)observer entities and intergovernmental organizations

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オブザーバー機構」の意味・わかりやすい解説

オブザーバー機構
おぶざーばーきこう
observer entities and intergovernmental organizations

国際連合の正式加盟国ではないが、国連総会や各種会合に出席して発言することを認められた「国連オブザーバーUnited Nations General Assembly observers」のうち、国際組織実体のある団体としてその地位を認められたもの。国連での議決権(投票権)はないが、議決案の作成に関与することが認められている。2015年末時点で、84のオブザーバー機構がある。

 オブザーバー機構は、政府間機構と主権や実体のある団体の大きく二つに分けられる。政府間機構には、ヨーロッパ連合(EU)、経済協力開発機構(OECD)、アフリカ連合、カリブ共同体、アラブ連盟イスラム協力機構、国際刑事警察機構(INTERPOL)、国際海洋法裁判所、平和大学などがある。主権や実体のある団体としては、国際オリンピック委員会(IOC)や、かつて領土を保有しており現在は医療団体として国際的な活動をしているマルタ騎士団(Sovereign Military Order of Malta)、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)などがある。オブザーバー機構は恒久的に国連本部内に事務所をもつことが決まっているが、世界基金米州開発銀行東南アジア諸国連合ASEAN)、アジア開発銀行国際水路機関など国連本部内に事務所をもたない組織もある。

 なお国連オブザーバーには、オブザーバー機構のほかに、「オブザーバー国家」があり、2015年末時点でローマ教皇庁バチカン市国)とパレスチナ(2012年にオブザーバー機構からオブザーバー国家へ格上げ)の二つが該当する。

[編集部 2016年1月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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