オプシン

デジタル大辞泉 「オプシン」の意味・読み・例文・類語

オプシン(opsin)

脊椎動物の目の網膜に含まれる視物質中のたんぱく質部分の総称レチナールと結合し、視紅ロドプシン)などの視物質になる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「オプシン」の解説

オプシン
オプシン
opsin

視覚物質(バクテリオロドプシンを含む)中のタンパク質部分の総称.生物種や視細胞の種類により異なるが,薄明視(明暗区別)にはたらく桿(かん)体オプシンと,昼間視(色の区別)にはたらく錐体オプシンとの2種類がある.ロドプシンのタンパク質部分は前者に属する.レチナールがタンパク質部分のリシン残基とシッフ結合することにより,広い吸収スペクトル(350~620 nm)をもつようになる.桿体オプシンの分子量は4×104 で,疎水性アミノ酸が約50% を占め,オリゴ糖鎖をもつが水に不溶である.ヒトでは348個のアミノ酸残基が7本のαへリックスを形成している.錐体オプシンは,赤,青,緑の各色を区別するオプシンに分かれており,赤と緑346個,青は348個のアミノ酸残基からなることが知られている.これらオプシンの構造には,かなりの相同性がみられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オプシン」の意味・わかりやすい解説

オプシン
opsin

ロドプシン,ポルフィロプシンなどの視物質の蛋白質部分をオプシンという。視物質の色素部分にはレチナール 1 とレチナール 2 の2種類しかないのに,視物質そのものの色調はいろいろに違い,たとえば海産魚類では,生息する深度に応じて視物質の吸収極大波長が適応的に変化している。このような色調の変化は,オプシン・蛋白質の構造,したがってまたそのアミノ酸配列の差によってもたらされると考えられる。

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栄養・生化学辞典 「オプシン」の解説

オプシン

 視紅(ロドプシン)などのタンパク質部分で,疎水性アミノ酸に富む.相同性の高いスコトプシン(scotopsin),フォトプシン(photopsin)の2種類が区別されている.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のオプシンの言及

【視覚】より

… 視細胞に光が当たったときに,光のエネルギーを吸収して光化学変化を起こすのが感光色素である。杆体の感光色素はロドプシンで,光が当たると分解してビタミンA1のアルデヒドであるレチナール1とオプシンというタンパク質になる。暗黒中では,十分レチナール1が存在するときには,レチナール1とオプシンからロドプシンが再生する。…

【ロドプシン】より

…前者は強い光に反応して色覚をつかさどり,後者は弱い光のもとで明暗を識別するが,色覚には関係しない。ロドプシンは,細胞内のディスク膜の成分である分子量3万8000のオプシンopsinに,ビタミンAの誘導体11‐シス‐レチナールretinalが結合した複合タンパク質である。ビタミンAが欠乏するとロドプシンの合成が損なわれ夜盲症の原因となる。…

※「オプシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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