カノニカル集合(読み)カノニカルシュウゴウ

化学辞典 第2版 「カノニカル集合」の解説

カノニカル集合
カノニカルシュウゴウ
canonical ensemble

正準集合ともいう.系が指定された粒子数N,体積V,絶対温度Tのもとで熱平衡状態にあるとき,系に許される力学的状態(微視的状態)のうちで,エネルギー Er(r = 1,2,…)に等しい状態の出現確率ρが,

であるように設定された統計集団をカノニカル集合あるいは正準集合とよび,ρ(E)をカノニカル分布あるいは正準分布という.ただし,は系の可能な状態についてのすべての和を示し,k体系とは無関係な普遍的な定数(ボルツマン定数)である.カノニカル集合は,外界(温度T熱源)とのエネルギー交換が許される体系を扱うのに適している.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カノニカル集合」の意味・わかりやすい解説

カノニカル集合
カノニカルしゅうごう
canonical ensemble

正準集合ともいう。統計力学で,エネルギーが Ei にある確率が exp (-Ei/kT) に比例するような分布 (カノニカル分布) をする体系の集合。ただし T は絶対温度,kボルツマン定数。これは絶対温度 T熱浴とエネルギーのみをやりとりして熱平衡状態にある系を表わす集合ともいえる。統計力学の分野では最も頻繁に用いられる集合である。

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