2012年に登録された世界遺産(文化遺産)。イスラエル北部のカルメル山の西側斜面とタブン・ジャマル・エルワド・スクールの4つの洞窟を含む54haの地域。当地での90年に及ぶ考古学的調査によって、中東(南西アジア)における人類の初期の生活の痕跡が検証され、50万年以上の連綿とした文化の変遷が明らかにされた。その結果、当地は、人類の進化の推移を知り、特にレバント地方(現在のレバノン・シリア・イスラエル周辺)の先史時代を深く知るための要所と位置づけられている。まず、このエリアには、中期旧石器時代の9万年前から3万5000年前までにヨーロッパから中東にかけて栄えたムスティエ文化のなかに共存した初期人類とネアンデルタール人の独特な生活ぶりを検証できる遺跡があり、人類の進化の一過程を詳細に知ることができる。また亜旧石器時代(旧石器時代後期)の1万8000年前から9800年前までのナトゥーフ時代の数多くの埋葬や石造建築の遺跡は、狩猟採取から農業・畜産への移行期を知るための手がかりを示している。なお本件は、複合遺産として申請されたが、文化遺産としての登録となった。◇英名はSites of Human Evolution at Mount Carmel: The Nahal Me'arot / Wadi el-Mughara Caves