カンピロバクター腸炎(読み)カンピロバクターちょうえん(英語表記)Campylobacter enteritis

六訂版 家庭医学大全科の解説

カンピロバクター腸炎
カンピロバクターちょうえん
Campylobacter enteritis
(感染症)

どんな感染症か

 カンピロバクター属の細菌による腸の感染症です。カンピロバクター属のなかで、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリの2種類の細菌が原因になる場合がほとんどです。

 これらのカンピロバクターはいろいろな動物が保有しており、菌が混入した食べ物(肉が多い)や飲み物(生乳や水が多い)を食べたり飲んだりして感染します。さらに、菌で汚染された器具で調理した食べ物から感染することもあります。

症状の現れ方

 菌で汚染された飲食物を食べたり飲んだりして1~8日くらい経過したあとに、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱が現れます。下痢の程度は軟便から水様便までさまざまで、血便になることもあります。

検査と診断

 カンピロバクター属以外の病原体でも同様の症状を起こすので、ほかの病原体による腸炎と区別する必要があります。便からカンピロバクター属の菌を分離することで診断します。

治療の方法

 脱水を防止するために、下痢をしていても水分をとることをすすめます。自然に治ることが多く、薬剤を服用せずに、あるいは整腸薬を服用して経過を観察することもよくあります。

 中等症から重症の場合は抗生物質で治療することもあります。抗生物質を使用する場合は、マクロライド系の薬剤が有用です。脱水がひどければ、点滴で水分を補うこともあります。

病気に気づいたらどうする

 改善しないようなら、受診することをすすめます。とくに食品を扱う人は受診するようにしてください。成人の場合は内科(胃腸科、消化器内科)、感染症科を、小児の場合は小児科を受診するとよいでしょう。下痢止め薬や手持ちの抗菌薬は服用せず、受診してください。

 ほかの人への感染を防ぐには、よく手を洗う必要があります。石鹸で十分に手を洗い、水道水できれいに洗い流すようにします。

関連項目

 急性胃腸炎

大西 健児

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カンピロバクター腸炎
かんぴろばくたーちょうえん

近年、新しいヒトの腸炎として世界各地で注目されている疾患。細菌性下痢症の原因菌としては、赤痢菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、コレラ菌、サルモネラ菌などが代表的なものであるが、このカンピロバクター・ジェジュニイCampylobacter jejuniは微好気性のグラム陰性、彎曲(わんきょく)した桿菌(かんきん)で、元来、ウシの流産の原因菌として獣医学領域で重要視されていたものの同類である。

 空腸と回腸に病変があって水様性の下痢が1日に数回から十数回に及び、腹痛、発熱、嘔吐(おうと)を伴うことがあり、しばしば粘血便もみられる。下痢は長くて10日間ぐらい持続するので、水分の補給が必要である。エリスロマイシンなどマクロライド系の抗生物質が著効を示すが、セファロスポリン系薬剤などには耐性を示すので、投薬を誤ると症状の消失が長引く。なお、集団発生する場合が多く、行政上、食中毒として扱われる。

[柳下徳雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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