赤痢菌(読み)セキリキン

デジタル大辞泉 「赤痢菌」の意味・読み・例文・類語

せきり‐きん【赤痢菌】

赤痢病原菌グラム陰性桿菌かんきん。明治31年(1898)志賀潔が発見したことからシゲラという属名をもつ。赤痢菌属には種類が多く病原性のないものもある。

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精選版 日本国語大辞典 「赤痢菌」の意味・読み・例文・類語

せきり‐きん【赤痢菌】

  1. 〘 名詞 〙 赤痢の病原菌となる桿菌(かんきん)一群両端がまるく、長さ二~四ミクロン、幅〇・四~〇・七ミクロン。一八九八年(明治三一)志賀潔によって発見されたシゲラ属が代表的。
    1. [初出の実例]「井戸の水を使ったが、その水に赤痢菌が棲んでゐたか、といふ医師の話だった」(出典:明治大正見聞史(1926)〈生方敏郎〉憲法発布と日清戦争)

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百科事典マイペディア 「赤痢菌」の意味・わかりやすい解説

赤痢菌【せきりきん】

赤痢の病原細菌。1898年(明治31年)に志賀潔が発見したのにちなみシゲラ属と名づけられる。非運動性,通性嫌気性のグラム陰性杆(かん)菌。抗原構造の違いで三十数種の型が区別されるが,A,B,C,D群の4群に大別される。経口感染し,大腸粘膜に侵入して増殖し,潰瘍を生じる。志賀毒素と呼ばれる毒素を産生するものもあり,これは病原性大腸菌O-157のつくるベロ毒素と類似している。一般に抗生物質が有効だが,型によって適性が異なるので,治療にはまず型の識別が重要。→嫌気性菌グラム陰性菌杆菌
→関連項目細菌赤痢

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「赤痢菌」の意味・わかりやすい解説

赤痢菌
せきりきん
dysentery bacilli

真正細菌目,腸内細菌科,シゲラ属。細菌学者,志賀潔 (1871~1957) が発見。ヒトに細菌性赤痢を起すグラム陰性桿菌をいう。長さ 2.0μm ,幅 0.5μmで,鞭毛を欠き,芽胞をつくらない。自然界では哺乳類の腸管にのみ寄生し,サルイヌから検出されることもあるが,ヒト以外には赤痢は起らない。ブドウ糖を分解して酸を産生するが,ガス発生はなく,ほとんどが乳糖非分解という点が,この菌の鑑別に重要である。赤痢菌は 1950年に免疫学的に次の4群に分けられることになった。A群 (志賀菌 Shigella dysenteriae) ,B群 (フレクスナー菌 S. flexneri) ,C群 (ボイド菌 S. boydii) ,D群 (ソンネ菌 S. sonnei) 。各群はその抗原構造の違いから,さらにいくつかの型に細分される。

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栄養・生化学辞典 「赤痢菌」の解説

赤痢菌

 赤痢の原因となる[Shigella]属の細菌.

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世界大百科事典(旧版)内の赤痢菌の言及

【志賀潔】より

…この罹患病者の糞便中から一種の杆菌を発見,これを赤痢病原菌と断定し,97年12月細菌学雑誌に発表した。この発見者としての栄誉のため現在赤痢菌属は,彼の名にちなんでシゲラShigellaと命名されている。1901年から05年までドイツに留学。…

【赤痢】より

…その病原体によって細菌性赤痢とアメーバ赤痢に分類される。
[細菌性赤痢bacillary dysentery]
 病原体である赤痢菌は1897年志賀潔によって発見され,志賀の名にちなんでShigellaという属名がつけられた。赤痢菌は長さ2~4μm,幅0.4~0.7μmのグラム陰性の杆菌で,鞭毛はない。…

※「赤痢菌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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