ガンドン(英語表記)Ngandong

改訂新版 世界大百科事典 「ガンドン」の意味・わかりやすい解説

ガンドン
Ngandong

インドネシア,東部ジャワのガウイNgawiの北方10km,ガンドン村を流れるソロ河の河岸段丘にある更新世人類遺跡。1931-33年に,オッペンノールW.F.F.Oppennoorth,テル・ハールC.ter Haar,ケーニヒスワルトG.H.R.von Koenigswaldによって発掘が行われ,ジャワ原人ホモ・エレクトス)の頭骨と四肢骨が発見され,1976年にもヤコブT.Jacobによって,2点の頭骨片が発掘された。化石人骨大部分は,少なくとも14個体に属する脳頭蓋と頭骨片であり,ほかには脛骨2点が含まれる。これらの人骨は,ソロ河近くから見つかったので,ソロ人とも呼ばれる。年代は,ドゥ・ボスJ.de Vosやバン・デン・ベルクG.D.van den Berghによって動物相の比較から中期更新世の末期(約12万年前),またスウィッシャーC.C.Swisherによって動物化石を用いた電子スピン共鳴法とウラン系列法から5万~3万年前と推定されているが,結論は出ていない。脳頭蓋は,サンギランの脳頭蓋よりも高く丸みがあり,頭蓋腔容積(脳容積より10%ほど大きいので注意)も大きい(1000~1200ml)。前頭骨が幅広く,側頭筋発達はサンギランの脳頭蓋よりも弱い。眼窩上隆起は直線的で,外側部が厚く,他では見られない独特の形態を示す。ガンドンの化石は,独自の進化を遂げたジャワ原人の最後の姿を表すと考えられている。文化遺物は,簡単な石器のみである。
サンギラン →サンブンマチャン →ジャワ原人
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