グエン・バン・リン(英語表記)Nguyen Van Linh

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グエン・バン・リン」の意味・わかりやすい解説

グエン・バン・リン
Nguyen Van Linh

[生]1915.7.1. ハノイ付近
[没]1998.4.27. ホーチミン
ベトナムの政治家。青年時代に南部の革命運動に参加。6年間の監獄生活ののち,1936年コーチシナの共産党組織に入るが 41年再度投獄された。第2次世界大戦後,レ・ジュアン部下として南部の党活動に従事し,党の南部中央局 COSVNを指導した。南部解放後の 76年に政治局員,ホーチミン市党委員会書記となるが,82年解任。しかしまもなくホーチミン市のポストに戻り,持論の漸進的社会主義化を進めて顕著な成果をもたらし,85年政治局に復帰した。後見人のレ・ジュアンがホーチミン市の実験を理解し支援したといわれる。 86年 12月の第6回党大会で書記長に選出されると,ドイ・モイ標語のもとに体制改革を進め,市場経済を積極果敢に導入した。しかし 89年6月中国の天安門事件の際は共産党の一党支配を断固維持する姿勢を示した。 89年秋にカンボジア駐留軍を撤退させ,東南アジア諸国連合 ASEAN諸国や西側諸国との関係改善の基礎をつくるとともに,90年秋ひそかに訪中するなど対中関係正常化にも努力した。 91年6月の第7回党大会で病気理由に書記長を引退し,第2の故郷というべき南部に戻った。

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