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ケミカルバイオロジー けみかるばいおろじー Chemical biology

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知恵蔵2015の解説

ケミカルバイオロジー

低分子化合物を用いて生体高分子の働きを調べる研究分野。細胞内では多種多様たんぱく質や核酸などの生体高分子が、生命維持に重要な働きをしている。特定の生体高分子に結合することが事前に分かっている低分子化合物を細胞に与えると、その細胞が、ある機能を失うなら、その機能は、その低分子化合物が結合する生体高分子が担っていることになる。このような手法によって、特定の生体高分子の働きを調べる。ケミカルバイオロジーで用いられる低分子化合物はバイオプローブと呼ばれる。バイオプローブによって特定の酵素たんぱく質が働きを失う場合には、このバイオプローブは低分子の酵素阻害剤となる。特定の疾病をもたらす酵素と阻害剤の組み合わせが分かれば、この阻害剤は治療薬ともなる。このようなことから、ゲノム創薬においてもケミカルバイオロジーの進展が期待されている。

(川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ケミカルバイオロジー
けみかるばいおろじー
chemical biology

分子生物学的な手法と有機化学的な手法を駆使し、核酸やタンパク質などの生体内分子の機能を分子レベルで解明・理解しようとする学問領域を意味する。研究対象は有機化学に登場する小分子から生体高分子まで幅広く、それらを用いて生体機能の制御・解析や酵素反応などの生体内反応のモデル化が検討される。モデル系の機能や関連する反応を解析することにより、生物活性や薬理活性を有する分子のふるまいを分子構造化学反応式で表すことを目標としている。ケミカルバイオロジー的アプローチが可能となった要因の一つに、酵素をはじめとするタンパク質や遺伝情報を担う核酸の分子構造を解析するための方法論が飛躍的に進歩したことをあげることができる。X線構造解析電子顕微鏡、各磁気共鳴吸収法などの進歩は、構造生物学とよばれる分野を発展させ、これが有機化学・創薬学と融合してケミカルバイオロジーが誕生した。[相田卓三]
『C・M・ドブソン、J・A・ジェラード、A・J・プラット著、三原久和訳『ケミカルバイオロジーの基礎――生命科学の新しいコンセプト』(2004・化学同人) ▽半田宏編『ケミカルバイオロジー・ケミカルゲノミクス』(2005・シュプリンガー・フェアラーク東京) ▽宍戸昌彦・大槻高史著『生物有機化学――ケミカルバイオロジーへの展開』(2008・裳華房)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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