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生命科学 せいめいかがく life science

翻訳|life science

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

生命科学
せいめいかがく
life science

第2次世界大戦後に起り急速に発展した分子生物学を中心とする,生命探究のための新しい学問領域。観察・記載を主とした古典的な生物学と異なるのは,生命に関する諸現象を遺伝子操作細胞融合その他生命操作技術を用いて,広範な分野にわたり研究する点である。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

せいめい‐かがく〔‐クワガク〕【生命科学】

ライフサイエンス

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世界大百科事典 第2版の解説

せいめいかがく【生命科学 life science】

ライフサイエンスともいう。生物関係の学問を大まかにまとめて生命科学(ライフサイエンス)と呼ぶことは,1930年代のアメリカなどにも,すでに例があった。しかしこの語に新しい意味をもたせ,積極的に用いる傾向は,60年代からとくに目だってきた。その動機と含意は,知識と技術における以下のようないくつかの発展と結びついている。
[生物学の発展]
 (1)DNAの二重らせんモデル(1953)と,それに続く分子生物学の急展開によって,すべての生物学分野を,遺伝子を中心にして統一してとらえる志向が強まった。

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大辞林 第三版の解説

せいめいかがく【生命科学】

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

生命科学
せいめいかがく
life science

1970年代以降に進められた、生命現象の解明、人間の理解とそれを基本にした科学技術社会システムの開発を目ざした総合的な学問をいう。[中村桂子]

生命科学誕生の背景

1970年代初め、アメリカでライフサイエンス、日本で生命科学という新分野が誕生した。アメリカでは、1960年代に宇宙開発に重点を置いていた科学・科学技術に対し、70年代に入って、より生活に近い分野に目を向けることが求められた。そこで注目されたのが、医療。大統領ニクソンは、癌(がん)との闘いを目標とした。病因を明らかにし、予防・治療につなげるには、生物学と医学の連携が不可欠であるということで、国の研究予算の項目として生物学と医学をまとめてライフサイエンスとしたのである。
 一方、同じころ日本では、江上不二夫(ふじお)(当時東京大学教授)が、生命科学を構想した。科学技術の進展により生活が豊かになる反面、環境問題が顕在化し始め、有限な地球のなかでの生き方を探る必要が認識された時代である。生物学の成果として地球上の生物はすべてDNA(デオキシリボ核酸)を基本とする仲間であり、そのなかに人間も含まれることが明らかになったなかで、大気や水の汚染、森林破壊が進むとすれば、人類の明るい未来はみえない。生きものの一つとしての人間という視点から社会を組み立て、科学技術も生物の理解を基本にして進める必要がある。このような考え方で生命現象の解明、人間の理解とそれを基本にした科学技術や社会システムの開発を目ざした総合的な学問が生命科学である。[中村桂子]

生命科学の展開

(1)生命現象の理解 1970年代後半に開発された組換えDNA技術と塩基配列解析技術の活用により、細胞、遺伝、発生、免疫、癌、脳神経などの研究は急速に進展した。そのなかでヒトがもつDNAのすべての塩基配列解析を目ざすヒトゲノムプロジェクトが進められ、2003年(平成15)には解読が完了した。ここから改めて生命現象の解明をどう進めていくかが現在のテーマである。
(2)バイオテクノロジーの誕生 組換えDNA技術を用いて、インスリンなど、本来生物がつくりだす高分子物質で、工業生産はむずかしかった薬品の製造や組換えDNA作物(たとえば、ジャガイモ、ダイズ、トウモロコシ、トマト)の生産などが可能となり、バイオテクノロジーという新分野が誕生し、大いに期待された。しかし、薬品は限られたものしか生まれず、組換えDNA作物も安全性について市民の理解が得にくいなど、産業的には大きな展開はみられなかった。21世紀に入り、ヒトゲノム解読(その他各種細菌、酵母、イネなども解読)により、創薬や品種改良への期待がふたたび高まっているが、今後の展開の明確な予測は、現時点ではむずかしい。
(3)ライフサイエンスは生物医学へ このような科学と技術の進展でアメリカでは生物学と医学の合体が当然のこととなり、生物医学Biomedicineということばが日常語となって、ライフサイエンスはほとんど使われなくなっている。[中村桂子]

生命科学の問題点

ヒトゲノムの解読完了、生物医学への期待の増大などで、21世紀に入って改めて、生命科学が、経済の活性化のための最先端技術を開発する分野として注目され始めた。当初提唱されたときには、生きものの一つとしての人間の理解を深め、それを基本に新しい社会システムや科学技術の開発をするという理念があったのに、いまや金融経済のなかで特許を取得し、ベンチャービジネスを立ち上げることが重要な作業になっている。もちろん、DNA研究を基盤にした薬品、医療、種苗、食品などの産業開発は重要だが、それが本当に生きものとしての人間の暮らしやすい社会づくりにつながらなければ、生命科学の意味がない。21世紀の社会のあり方を考えるうえで重要な選択のときである。[中村桂子]

生命科学から生命誌へ

ここで、生きものの特徴に目を向けてみよう。従来の生命科学は、生物を機械論的世界観のなかに置き、物理科学の方法で解明しようとしてきた。しかし、生命体は、多様性、複雑性、曖昧(あいまい)性、階層性、多義性をもち、しかも歴史の産物(40億年近い歴史)で開放系であるために環境とつながっている。このような存在は、法則・数式に還元できるものではなく、ことばで語るほかない。ゲノムには、そのような物語りを語る構造があると思われる。そこで、ゲノムを単位として細胞、個体、種、生態系をそれぞれ理解するとともに、お互いの関係を知る新しい知を組み立てていくことが不可欠である。これは「生命誌Biohistory」とよぶのがふさわしく、生命論的世界観をつくりだすものとなるだろう。[中村桂子]

21世紀を支える知を

生命科学は、単なる科学の一分野として生まれたのではなく、社会の価値観を機械論から生命論的世界観に変え、生きものとしての人間が、他の生きものとともに暮らす生活をつくりあげようという意図をもっていた。しかし、生命科学は、それに成功したとはいえない。理由は、物理科学のパラダイムのなかで生きものを扱ったこと、社会に役だつことを経済に限定して科学技術や産業に走りすぎたこと、学問と日常とを分離して生きものに対する感性を大切にしなかったこと、価値観についての議論をしなかったこと、などがあげられる。
 日常生活に関しては、食(農林水産業)、健康(医療、福祉)、環境、教育(心)の四つを重視した技術開発や社会システムづくりをすることが求められている。ところが、金融経済の下での競争社会に勝ち残ることを目標にしている現在の社会は、このような生活の基本を大切にしていない。たとえば、哺乳(ほにゅう)類での体細胞クローンが可能になったところで、ヒトクローンの誕生を求める人がいる。これは、対外受精が日常化し、他人の生殖細胞や子宮を用いてでも自分の願望を実現することが当然という考え方のなかで生まれたものである。生きることについて深く考えたとき、願望の抑制も必要という答えが出るはずだ。改めて、有限な地球のなかで、すべての人が真の豊かな生活を送れるようにするには、20世紀を象徴する機械と火に対して生命と水へと移行するのが21世紀のテーマになるだろう。[中村桂子]
『中村桂子著『ミクロコスモスに生命誌をよむ』(1990・三田出版会) ▽中村桂子著『生命科学から生命誌へ』(1991・小学館) ▽生命科学資料集編集委員会編『生命科学資料集』(1997・東京大学出版会) ▽中村桂子著『生命誌の窓から』(1998・小学館) ▽中村桂子著『生命誌の世界』(2000・NHKライブラリー) ▽岡田節人著『ヒトと生きものたちの科学のいま』(2001・岩波書店) ▽大森正之ほか編著、矢内徹一ほか著『新しい植物生命科学』(2001・講談社) ▽関西学院大学キリスト教と文化研究センター編著『生命科学と倫理――21世紀のいのちを考える』(2001・関西学院大学出版会) ▽宮木幸一著『ポストゲノムのゆくえ――新しい生命科学とバイオビジネス』(2001・角川書店) ▽小比賀正敬・中島陽子著『現代生命科学入門』(2001・慶応義塾大学出版会) ▽総合研究開発機構・川井健編『生命科学の発展と法――生命倫理法試案』(2001・有斐閣) ▽松原謙一著『遺伝子とゲノム』(2002・岩波書店) ▽本庶佑・中村桂子著『生命の未来を語る』(2002・岩波書店) ▽総合研究開発機構編、藤川忠宏著『生殖革命と法――生命科学の発展と倫理』(2002・日本経済評論社) ▽塩川光一郎著『生命科学を学ぶ人のための大学基礎生物学』(2002・共立出版) ▽広野喜幸・市野川容孝・林真理編『生命科学の近現代史』(2002・勁草書房) ▽中村運著『生命科学の基礎』(2003・化学同人) ▽中村桂子著『生命科学』『「いのち」とはなにか――生命科学への招待』(講談社学術文庫) ▽中村桂子著『生命科学者ノート』(岩波現代文庫) ▽池内俊彦著『タンパク質の生命科学――ポスト・ゲノム時代の主役』(中公新書)』

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