サトウガイ(読み)さとうがい(その他表記)Satow's ribbed ark

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サトウガイ」の意味・わかりやすい解説

サトウガイ
さとうがい
Satow's ribbed ark
[学] Scapharca satowi

軟体動物門二枚貝綱フネガイ科の二枚貝。マルサルボウガイともいう。太平洋側は九十九里浜以南、日本海側は能登(のと)半島以南、九州まで分布し、水深10~30メートルの外洋砂底にすむ。殻長80ミリメートル、殻高65ミリメートル、殻幅58ミリメートルぐらいになり、殻は厚く方形で、殻頂がよく膨らむ。殻表には38本内外の放射肋(ろく)があり白色であるが、黒褐色の殻皮をかぶっている。両殻片の殻頂の間に平らな靭帯(じんたい)面があり、鉸歯(こうし)は多歯式である。内面は白く光沢がない。アカガイの代用品として用いられ、市場では「バッチ」(場違いの意)とよばれる。なお「サトウ」は江戸末期のイギリス駐日公使アーネスト・サトーに献名されたものである。

[奥谷喬司]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サトウガイ」の意味・わかりやすい解説

サトウガイ
Scapharca satowi; Satow's ribbed ark

軟体動物門二枚貝綱フネガイ科。殻長 8cm,殻高 6.5cm,殻幅 5.8cm。殻は白色,やや方形で殻頂部がよくふくらみ,放射肋が 38本内外あり,黒褐色の毛状の殻皮でおおわれる。左右殻頂の間には細長く平らな靭帯面がある。内面は白色で,歯は数多く並ぶ。軟体は血液にヘモグロビンが含まれ橙色を呈する。千葉県・石川県以南九州までと中国,朝鮮半島に分布し,水深 10~30mの砂泥底にすむ。食用。東京では内湾にすむアカガイに対して外海にすむので産地が違う意でバッチ,またアカガイの本玉に対し白玉ともいう。サトウは幕末に活躍した駐日公使 Ernest Satowである。

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世界大百科事典(旧版)内のサトウガイの言及

【アカガイ(赤貝)】より

…赤貝飯に使われるのはアカガイでなくサルボオガイ(イラスト)のことが多く,一般的にはこの両種は混同されている。近縁種のサトウガイ(別名マルサルボオ)S.satowiは殻が厚く,肋数は38本内外で,九十九里,相模湾など外海にすみ,食用とされるが,アカガイと産地が違うので,東京などではバッチ(場違いの意),またアカガイの本玉(ほんだま)に対して白玉ともいう。クマサルボオS.globosa ursusは四角形状で厚く,肋数は34本内外,瀬戸内海,有明海,大村湾が主産地である。…

※「サトウガイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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