日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルバーグ」の意味・わかりやすい解説
サルバーグ
さるばーぐ
Irving G. Thalberg
(1899―1936)
ハリウッド黄金期を代表する映画製作者。ニューヨーク市の生まれ。1918年、ユニバーサル映画の社長カール・レムリCarl Laemmle(1867―1939)の秘書となり、その後同社の製作主任へと昇格、その優れた手腕から「天才少年」とうたわれる。1923年、ルイス・B・メイヤーLouis Burt Mayer(1884―1957)に迎えられ、MGMの製作責任者となる。サルバーグは自らの名をクレジットに載せることはなかったが、シナリオの選定から最終編集に至るまで製作全般に目を光らせ、MGM独自の華麗な作風を定着させた。彼の影響が大きい作品群として『戦艦バウンティ号の叛乱(はんらん)』(1935)や『椿姫』(1937)、ジャネット・マクドナルドJeanette MacDonald(1903―1965)とネルソン・エディNelson Eddy(1901―1967)のコンビによるミュージカル、マルクス兄弟のコメディなどがあげられる。またスター・システムの強力な推進者で、夫人のノーマ・シアラーNorma Shearer(1902―1983)ほか数多くのスター俳優からなる豪華な陣容をつくりあげた。37歳で肺炎のため急逝。功績をしのび、優れた映画製作に対して与えられるアービング・サルバーグ記念賞が設けられた。
[宮本高晴]