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シアッチ しあっちSiats meekerorum

知恵蔵の解説

シアッチ

約1億年前の白亜紀後期に北米大陸に生息していたとされる、肉食恐竜の一種。米国ユタ州の東部、9800万年前のシーダーマウンテン累層で化石が発見され、発見者の1人でノースカロライナ州立大学のリンゼイ・ザノ氏らが2013年11月22日発行のNature Communications誌に新種として発表した。この恐竜は、獣脚亜目カルノサウルス類アロサウルス上科の新属として分類され、シアッチ・ミーケロルム(Siats meekerorum)と命名された。シアッチとは、ユタの先住民族ユト族の神話に登場する肉食の怪物の名にちなんでいる。
発見された化石は若い個体のもので、体長9メートル以上、体重は4トン以上と推定された。この大きさは、これまで北米大陸で発見された肉食動物として第3位に当たり、成体は現在世界で知られている肉食動物の中でも、最大級だったのではないかと考えられている。
これまで知られている北米大陸最大の肉食動物は、同じく獣脚類のティラノサウルス・レックスで、体重は8トンにもなり、白亜紀末期に食物連鎖の頂点を占めていた巨大肉食動物の代表的存在であった。しかし、シアッチが発見された同じ岩盤からは、小さなティラノサウルス類の歯の化石が出土しており、全身は大きな犬くらいの大きさであったと推定されることから、当時はシアッチが陸上生態系における支配的な位置を占めており、ティラノサウルスはシアッチのような巨大なアロサウルス類より下位の存在だったと考えられる。シアッチが絶滅した後、ティラノサウルスが巨大化したと考えられるが、シアッチの絶滅の時期や理由は不明である。
シアッチやティラノサウルスは、獣脚類特有の二足歩行の肉食恐竜であるが、ティラノサウルスの短く退化した前脚と比べ、シアッチの前脚には長い3本の爪があり、捕食に使われていた可能性もある。シアッチの化石は、北米大陸で発見されているアロサウルス類として最も古く、当地における巨大肉食恐竜の進化の最初の分岐を示すものではないかと考えられ、進化のミッシングリンクの一部を埋めるものとして重要視されている。

(葛西奈津子  フリーランスライター / 2013年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

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