改訂新版 世界大百科事典 「シマジン」の意味・わかりやすい解説
シマジン
simazine
1955年,スイスのガイギー社によって開発されたトリアジン系除草剤。CATともいう(2-chloro-4,6-bis(ethylamino)-1,3,5-triazineの略称)。光合成阻害を主要な作用機構とする除草剤で,畑作,果樹園,非耕地の雑草防除に用いられる。シマジンのほかに,アトラジン,シメトリン,アメトリン,プロメトリン,ジメタメトリンなどの同系列の除草剤が開発されている。このうち,シマジンやアトラジンのように,トリアジン環の2位に塩素原子を有するものは,トウモロコシに対する薬害がきわめて小さいという特徴を有する。一般にトリアジン系除草剤は,土壌処理剤として用いられることが多く,かなり長期の残効性を有する。シマジンの哺乳類に対する急性毒性は,50%致死量LD50>5000mg/kg(マウス,経口)ときわめて弱い。
執筆者:高橋 信孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報