シャプール1世(読み)シャプールいっせい(英語表記)Shāpūr I

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャプール1世」の意味・わかりやすい解説

シャプール1世
シャプールいっせい
Shāpūr I

古代イラン,ササン朝の王 (在位 241~272) 。アルダシール1世の子。東はアフガニスタン,西はアルメニア,北はアムダリア (オクソス川) にわたる地域を領有して,「イラン人および非イラン人の諸王の王」と称し,王朝権力を拡大,強化した。しばしばローマ帝国と戦い,260年にはローマ皇帝ウァレリアヌスを捕虜とした。その勝利を記念し,ナクシェ・ロスタムなどの岩壁に浮彫を残している (→ナクシェ・ロスタム遺跡 ) 。ビシャプール (→ビシャプール遺跡 ) ,グンデ・シャプールなど多くの都市を建設し,フージスターン地方の灌漑工事にはローマ兵捕虜の技術を利用した。宗教的には寛容政策をとり,ゾロアスター教の復活に意を注ぐと同時に,マニ教,キリスト教,仏教をも保護した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android