Am.原子番号95の元素.電子配置[Rn]5f 77s2の周期表3族アクチノイド元素.4番目に発見された超ウラン元素.1944年,原爆製造目的のマンハッタン・プロジェクト・シカゴ大学合金研究所で,G.T. Seaborg(シーボーグ)らによって,原子炉中で239Puの逐次中性子吸収でできる241Puのβ崩壊生成物として,質量数241の核種が確認された.Puのβ崩壊生成物の溶媒抽出,イオン交換法により得られる.銀白色の金属.密度13.69 g cm-3.融点1267 ℃,沸点2873 ℃.第一イオン化エネルギー579 kJ mol-1(6.0 eV).通常の酸化数3~6.酸化物AmO,AmO2,Am2O3,AmO2,水素化物AmH2,AmH3,塩化物AmCl2,AmCl3をつくる.水溶液中で Am3+ はピンク,Am4+ はバラ色,AmO2+は黄色,AmO22+は淡褐色.現在,知られている同位体核種は,232~248の範囲に15種.質量数243の核種がもっとも長寿命で半減期7370 y,241Amは433 y でα崩壊(5.6 MeV)する.このα線を利用した煙感知器は広く使用されている.同時に60 keV のγ線を放出し,流体密度計,厚み計,航空機の燃料ゲージ,ガスクロマトグラフィー用検出器などにも利用されている.[CAS 7440-35-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
超ウラン元素の一つ。原子番号95、元素記号Am。アクチノイドの7番目に位置し、ランタノイドの7番目であるユウロピウムとの対比でアメリカ大陸にちなんで命名された。
1944年、アメリカのシーボーグらが原子炉中でプルトニウム239を中性子照射して生じたプルトニウム241がβ(ベータ)壊変し、アメリシウム241となることを発見した。20種以上知られている同位体の多くは短寿命であるが、つくりやすい241の半減期は432年と比較的長く、銀白色で展延性のある単体金属として、また多くの化合物として得られている。酸化数+Ⅱ、+Ⅲ、+Ⅳの化合物があり、+Ⅲの状態がもっとも安定であることはユウロピウムと似ている。質量数241の同位体は、煙感知器(火災報知器)に利用されるが、日本では2004年(平成16)の放射線障害防止法改正により規制の対象となり、使用は推奨されていない。また、もっとも長い半減期7.7×103年をもつ243は他の超ウラン元素の合成原料となる。
[岩本振武]
人工元素で,周期表第ⅢA族に属するアクチノイドの一つ。12種の同位体が知られているが,いずれも放射性同位体で,半減期最長のものは243Am(7.95×103年)。1944年アメリカのシーボーグGlenn Theodore Seaborgらが,原子炉中でプルトニウム239(239Pu)に中性子を照射すると241Puが生じ,これがβ⁻崩壊することによって質量数241,原子番号95の新元素241Amが得られることを発見した。95番元素は,アクチノイド中アクチニウムから数えて7番目にあたり,ランタノイドの7番目にあたるユウロピウム(命名はヨーロッパにちなむ)と対応させ,アメリカ大陸にちなんでアメリシウムと名づけられた。天然には存在せず,最も多くつくられているのは241Am(半減期458年)である。単体はフッ化物を真空中で強熱し,金属バリウムで還元して得られる銀白色の金属。化学的性質はユウロピウムに似ていて,化合物中での安定な酸化数は3。塩化物,硝酸塩,硫酸塩は水に溶けるが,フッ化物は難溶。塩類水溶液の色は淡紅色。
執筆者:中原 勝儼
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…天然に存在しない元素はたとえば次のようにしてつくられる。(1)アメリシウムAm Uを高速α粒子(40MeV)で衝撃する。(2)カリホルニウムCf Uに加速した炭素イオンで衝撃する。…
※「アメリシウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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