日本大百科全書(ニッポニカ) 「アメリシウム」の意味・わかりやすい解説
アメリシウム
あめりしうむ
americium
超ウラン元素の一つ。原子番号95、元素記号Am。アクチノイドの7番目に位置し、ランタノイドの7番目であるユウロピウムとの対比でアメリカ大陸にちなんで命名された。
1944年、アメリカのシーボーグらが原子炉中でプルトニウム239を中性子照射して生じたプルトニウム241がβ(ベータ)壊変し、アメリシウム241となることを発見した。20種以上知られている同位体の多くは短寿命であるが、つくりやすい241の半減期は432年と比較的長く、銀白色で展延性のある単体金属として、また多くの化合物として得られている。酸化数+Ⅱ、+Ⅲ、+Ⅳの化合物があり、+Ⅲの状態がもっとも安定であることはユウロピウムと似ている。質量数241の同位体は、煙感知器(火災報知器)に利用されるが、日本では2004年(平成16)の放射線障害防止法改正により規制の対象となり、使用は推奨されていない。また、もっとも長い半減期7.7×103年をもつ243は他の超ウラン元素の合成原料となる。
[岩本振武]