日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シンプソン(Sir James Young Simpson)
しんぷそん
Sir James Young Simpson
(1811―1870)
イギリスの産科医。スコットランドのエジンバラに近いバスゲートに生まれる。1827年からエジンバラ大学で医学を学び、一時期田舎(いなか)で開業、1840年、29歳でエジンバラ大学産科学教授となった。男性的な力と女性的な繊細さとを兼ね備えた人柄により、人望を集めた。1843年、子宮ゾンデを考案、多数の論文を書いた。
シンプソンを有名にしたのは、産科麻酔の創始者としてである。1847年1月19日、エーテル麻酔を産婦に初めて行い、同年11月4日にはクロロホルム麻酔を初めて行った。これに対して宗教的非難がおこったが、聖書の典拠をあげて反論した。そして6年後ビクトリア女王のレオポルドLeopold(1853―1884)王子出産の際スノーJohn Snow(1813―1858)がこの麻酔を行った。1850年、今日も用いられるシンプソン産科鉗子(かんし)を考案、晩年には、患者に悪影響を与える病院の状態に抗議した。
[石原 力]
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