ジャムシ(読み)じゃむし

改訂新版 世界大百科事典 「ジャムシ」の意味・わかりやすい解説

ジャムシ (蛇虫)
Neanthes virens

多毛綱ゴカイ科の環形動物で,小型のヘビくらいの大きさになり,また生殖時期に体をくねらせながら泳ぐようすもヘビに似ているところからこの名がある。北方種で,日本では北海道から東北地方に生息しており,オホーツク海ベーリング海アイスランドノルウェーなどにも分布している。体長90cm,いぼ足を含んだ体幅4.5cm,240~270剛毛節になる。しかし,ふつうは15~40cmくらいが多い。背面光沢のある青色で,いぼ足は黄色頭部には1対の短い感触手と2対の眼点,それに1対の太い副感触手がある。4対の感触糸のうち,最長のものは第5剛毛節に達する。吻(ふん)の小顎片(しようがくへん)は第1区に4~5個,第2区に9~10個,第3区には2~3列に15~17個,第4区には26~30個,第5区には1~3個,第6区には3~5個,第7~8区には不規則に3列に並ぶ。いぼ足の各足葉は肉厚で,体中部のいぼ足では上足舌が非常に幅広く,先端がとがっている。生殖時期は函館では6月前後で,夜間雌雄それぞれの個体水面を遊泳しながら生殖をする。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャムシ」の意味・わかりやすい解説

ジャムシ
じゃむし / 蛇虫
[学] Neanthes virens

環形動物門多毛綱ゴカイ科に属する海産動物。小形のヘビくらいの大きさになるのでこの名がある。東北地方から北海道に生息し、オホーツク海、ベーリング海、ノルウェーなどに分布する。浅海の砂泥中にすむ。普通は体長15~40センチメートルであるが、大きなものでは体長90センチメートル、体幅4.5センチメートルで、240~290剛毛節になる。背面は光沢がある青色で、いぼ足は黄色。頭部には1対の短い感触手と2対の眼点と1対の太い副感触手がある。吻(ふん)にある小顎片(しょうがくへん)は、第1区に4~5個、第2区に9~10個、第3区には2~3横列に15~17個、第4区には26~30個、第5区に1~3個、第6区には3~5個、第7、8区には不規則な3列になっている。いぼ足は肉厚で、いぼ足の上足舌は幅が広くて先端はとがっている。生殖時期は6月前後で、夜間に雌雄の個体が水面に浮き出て、生殖群泳をする。

[今島 実]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャムシ」の意味・わかりやすい解説

ジャムシ
Neanthes virens

環形動物門多毛綱遊在目ゴカイ科。ゴカイ類のなかで最も大型の種で,体長 90cm,体幅 4.5cm,体節数 230~270に達する。頭部に2対の眼点,4対の感触鬚がある。体の背面は光沢のある青色を呈し,体の両側にある疣足 (いぼあし) は黄色で,その辺縁は緑色である。背足枝の上足舌は非常に幅が広く,先端がとがっている。北海道から東北地方の浅海にすみ,5~6月の夜間に水面を群泳しながら生殖を行う。北大西洋,ベーリング海,北アメリカの太平洋岸に分布する。

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