改訂新版 世界大百科事典 「スガ」の意味・わかりやすい解説
スガ (巣蛾)
鱗翅目スガ科Yponomeutidaeに属する昆虫の総称。翅の開張1~3cmの小型種を含む小さな科で,日本には80種余り知られている。この科の代表的な属Yponomeutaの中には,幼虫が共同の巣をつくり,群生している種がいるので科名となった。サクラスガ,オオボシオオスガ,ベンケイソウスガなどが集団性で大発生したときは,1本の木全体を巣で覆い,葉を丸坊主にしてしまうことがある。このようなスガの成虫は,前翅が白色あるいは灰色で,多数の黒点を散布する。またこの科の中にはアブラナ科蔬菜(そさい)の害虫として,ほとんど全世界に分布しているコナガがいる。寒さに耐える力が強く,関東地方以西では年中発生し,冬にも卵から成虫までの各態を見ることができる。
執筆者:井上 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報