日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニシキギ」の意味・わかりやすい解説
ニシキギ
にしきぎ / 錦木
[学] Euonymus alatus (Thunb.) Sieb.
ニシキギ科(APG分類:ニシキギ科)の落葉低木。高さ3メートルに達する。枝は緑色、のちにコルク質の4翼が出るのが特徴である。葉は対生し、楕円(だえん)から倒卵形で長さ2~7センチメートル、質は薄い。5~6月、葉腋(ようえき)から長い柄のある集散花序を出し、4数性の淡緑色花を数個下向きに開く。ほかのニシキギ類と異なり、果実は1、2個の離生した心皮からなる。山地や丘陵に生え、北海道から九州、および朝鮮半島、中国、千島、樺太(からふと)(サハリン)に分布する。変異が多くいくつかの品種が知られ、枝に翼がないものをコマユミ、翼がなく葉が小さいものをコバノコマユミ、同じく葉が大きいものをオオコマユミという。庭木としてよく栽培される。種子に精油成分が含まれ、工業油としたりする。九州南部から沖縄には、本種に似た常緑性の別種リュウキュウマユミE. lutchuensis T. Itoがある。
ニシキギ属は北半球の温帯、暖帯を中心に150種あり、日本にはニシキギのほかにマユミ、マサキなど18種分布する。
[門田裕一 2020年2月17日]