改訂新版 世界大百科事典 「コナガ」の意味・わかりやすい解説
コナガ (小菜蛾)
Plutella xylostella
鱗翅目スガ科の昆虫。ほとんど全世界に分布し,幼虫はダイコン,ハクサイ,カブなどアブラナ科の害虫として有名。成虫は開張1.5cmくらいの小さいガで,前翅翅底部に白紋があり,翅をたたんで静止したとき左右前翅の白紋がいっしょになり,ダイヤモンドの形に見えるところからdiamond-back mothという英名がある。卵は葉上に1個ずつ産みつけられる。幼虫は体長10mmくらいの青虫で,葉裏に糸を張って食害し表皮だけを残す。老熟すると葉上に糸を張って籠目状の繭をつくって蛹化(ようか)する。発生回数は生息地の気候によって異なるが,温暖地では年に10回以上の世代を繰り返し,冬でも卵から成虫までのあらゆる段階が見られる。人為的に世界各地に運ばれ土着したもので,大洋中の島々にも見られるが,ヨーロッパでは,成虫が群れをなして移動することがときどき観察されている。この小さい体でイギリス海峡を飛び越えるのは驚くべきことである。
執筆者:井上 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報