日本大百科全書(ニッポニカ) 「スコレル」の意味・わかりやすい解説
スコレル
すこれる
Jan van Scorel
(1495―1562)
ネーデルラントの画家。8月1日、アルクマール近郊スコールルに生まれる。1517年、ユトレヒトでマビューズに師事したのちニュルンベルク、ケルンテン、ベネチア、ローマに旅してデューラー、ラファエッロ、ミケランジェロの作品に学び、ジョルジョーネやパルマ・イル・ベッキョの影響を受けた。初期の祭壇画(ケルンテン、オーバーフェルラハの教会)にはまだゴシック様式が濃厚であるが、光と空間の処理にのちのルネサンス風の特色がみられる。『聖家族』など宗教画の大作のほか、ローマ教皇ハドリアヌス6世Hadrianus Ⅵ(在位1522~1523)の等身大の肖像にみるような、巧みに個性を表現した肖像画を描いた。1550年には『ヘントの祭壇画』の修復にあたった。12月6日、ユトレヒトで没。
[野村太郎]