日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケルンテン」の意味・わかりやすい解説
ケルンテン
けるんてん
Kärnten
オーストリア最南部の州。南の州境は、イタリア、スロベニアとの国境となっている。面積9533平方キロメートル、人口56万1114(2001)。州都はクラーゲンフルト。山がちの上ケルンテンと谷底平野部の下ケルンテンからなる。面積の56.8%が1000メートル以上の山地に属するが、ここには人口のわずか4%が居住するにすぎない。この国の山岳州のなかでは耕地面積の割合が最大で、牧牛を中心に、穀物、果樹栽培が行われる。ドラウ川の水力発電量は全国の3分の1を占め、木材、製紙工業が盛んで、クラーゲンフルトで開かれる木材見本市は有名である。人口の94%はドイツ語を話すが、州南部に少数のスロベニア人が住む。山地に囲まれているため、州としてまとまった文化的特徴をもち、民謡、民話の宝庫となっている。
[前島郁雄]