スプレケリア(英語表記)Jacobean lily
Sprekelia formosissima (L.) Herb.

改訂新版 世界大百科事典 「スプレケリア」の意味・わかりやすい解説

スプレケリア
Jacobean lily
Sprekelia formosissima (L.) Herb.

花の形によりツバメズイセンとも呼ばれるヒガンバナ科の春植球根植物。中央アメリカ(メキシコ,グアテマラ)産で半耐寒性。鉢植え,花壇用に利用されるほか,水栽培もできる。数枚の濃緑色スイセンの細葉種のような葉を出し,長さ約30cm。初夏のころに,平たい濃赤色の鉛筆大の20~30cmの花茎を出し,通常1花をつける。花は6弁であるが,上3弁と下3弁に分かれ,大型で横径は12cmくらい,真紅で美しい。大球になると次々と3本ぐらい続開するが,1花の開花期間が2~3日と短い。中央アメリカ高地(標高1000~2300m)原産で,温暖で降霜がなくなるころに球根上部が見えるくらいの深さに植えつける。冬に入り葉が枯れると乾いた場所で越冬させる。繁殖は分球とよく実る種子の採りまきによる。種子から開花までは4年くらいかかる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スプレケリア」の意味・わかりやすい解説

スプレケリア
すぷれけりあ
[学] Sprekelia formosissima (L.) Herb.

ヒガンバナ科(APG分類:ヒガンバナ科)の春植え球根草。メキシコ、グアテマラ原産。花の姿がツバメに似ることから和名ツバメズイセンともいう。葉は線形で、長さ約20センチメートル。5~6月、高さ約20センチメートルの花茎に濃緋紅(ひこう)色の花をつける。6枚の花被片(かひへん)のうち左右の2枚は、とくに細長く湾曲している。アマリリス属と同属にされていたが、唇弁がはっきりしていて1茎1花であること、仏炎包の基部が鞘(さや)状になっていることで区別された。植え付けは春先に行う。寒さに弱いので、球根は掘り上げて貯蔵するとよい。

[平城好明 2019年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スプレケリア」の意味・わかりやすい解説

スプレケリア
Sprekelia formosissima; Aztec lily; Jacobean lily; orchid amaryllis

ヒガンバナ科の1属1種の植物。和名のツバメズイセンは,翼を広げたツバメのような花形に由来する。メキシコ原産の球根植物で,幅約 1cmの線形の葉が根出する。 20cmほどの赤褐色の茎頂部に,直径 13cm前後の花を1個つける。花被片は6個で緋紅色。春に球根を植付ける。普通,鉢植えにするが,関東地方以西では露地植えでも育つ。日当りと水はけのよい環境を好む。秋に葉が黄変したら鉢ごと乾燥状態にするか,球根を掘上げて乾燥貯蔵する。

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