改訂新版 世界大百科事典 「スンディアタ」の意味・わかりやすい解説
スンディアタ
Sundiata
西アフリカ内陸のニジェール川大湾曲部を中心に,14世紀を頂点に栄えたマリ帝国の伝説上の始祖。勢力圏内でとれる金の交易で栄えていたガーナ王国が11世紀末に衰えると,代わってこの地方にソソ族が君臨したが,13世紀中ごろマリンケ族のスンディアタがソソの支配を覆し,やがてマリ帝国の基をつくった。その生涯は伝奇にみちた叙事詩となって土地の語り部にいまも伝えられている。12人の兄にいじめられた妹が,年老いて鉄の矢も通らない巨大なアンテロープに変身し,兄たちの村を襲ったが,異国から来た二人兄弟の狩人が退治し,黄金の尾を切り取った。住民が感謝して狩人兄弟に娘を与えたが,兄弟は娘をマリンケの首長に与え,生まれたのがスンディアタだと伝えられる。彼は武勇を誇ったが,フルベ族との戦いに敗れて川に身を投じ,カバになったという。
執筆者:川田 順造
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報