ズハイル(読み)ずはいる(英語表記)Zuhayr ibn Abī Sulmā

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ズハイル」の意味・わかりやすい解説

ズハイル
ずはいる
Zuhayr ibn Abī Sulmā
(530ころ―627ころ)

イスラム以前の古代アラビアの知性派詩人。メディナ市近くの詩人の家に生まれ、イスラム以前のアラブ七大詩人の1人に数えられる。40年間にわたるダーヒスの戦い末期にあたり、和平を主張した人々をたたえる詩をつくった。ハト派の詩人として独自の趣(おもむき)があり、復讐(ふくしゅう)心の芽生えを戒め、争いの愚かさと人生のはかなさを歌った点で特筆に値する詩人。

[内記良一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ズハイル」の意味・わかりやすい解説

ズハイル
Zuhair ibn Abī Sulmā

古代アラビアの詩人。6世紀後半頃の人。イムルル・カイス,ナービガとともに古代アラビアの三大詩人と評価される。その代表作は名詩選『ムアッラカート』に加えられ,また後世になって「ディーワーン」 (個人詩集) も編まれた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のズハイルの言及

【ハンサー】より

…ハンサーとは〈獅子鼻〉の意で,彼女の顔の特徴から付けられたあだ名。詩才豊かな家系に生まれ,一族の中には大詩人ズハイルZuhayr(530ころ‐627ころ)および預言者ムハンマドに頌詩を献じて名高いカーブ・ブン・ズハイルKa‘b b.Zuhayr(生没年不詳)がいる。詩中には,当時の人生観および女性観が横溢し,史料的価値もある。…

※「ズハイル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android