イムルル・カイス(読み)いむるるかいす(英語表記)Imru' 'l-qays

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イムルル・カイス」の意味・わかりやすい解説

イムルル・カイス
Imru' al-Qays ibn Ḥujr

[生]?
[没]550頃
古代アラビアの詩人。中央アラビアの高原に興ったキンダ王国王子であったが,不遇流離の生活をおくりつつ,きわめて格調の高い詩を残した。アラビア語最古の名詩選『ムアッラカート』は7人の大詩人中彼を第1位においている。またその「ディーワーン」 (個人詩集) も8世紀以後に編まれた。古代アラビアには同名の詩人が少くとも 11人 (一説に 15人,他説では 25人) もいたというが,上記のキンダ族の詩人が最もすぐれていた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イムルル・カイス」の意味・わかりやすい解説

イムル・ル・カイス
いむるるかいす
Imru' 'l-qays
(500ころ―540ころ)

古代アラビアの代表的詩人。イエメン系のキンダ人の名門に生まれたが、その生涯定説を得ない。青年時代は酒色にふけり、たびたび父から勘当された。またしばしば自家復興の計画をたて、そのための援助を求めて諸部族の間を流浪したが、すべて失敗に終わり、ますます快楽に身を任すことになる。コンスタンティノープルに赴いてユスティニアヌス帝に謁見したのち、帰途アンカラで病死したと伝えられる。生涯のさまざまの経験をもとに詩作に努め、『ムアッラカ』とよばれる長詩をはじめ、その詩はアラブ古詩中随一と評価される。

[内記良一]

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