セルウィウス(英語表記)Servius

改訂新版 世界大百科事典 「セルウィウス」の意味・わかりやすい解説

セルウィウス
Servius

紀元後4世紀後半から5世紀前半にかけて活躍したローマ文法家,注釈家。生没年不詳。主著ウェルギリウス注釈書は今日のウェルギリウス研究にも欠くことができない。これには短いものと,ドナトゥスの注釈を部分的に含んでいるとみられる長いものとの2種類があり,後者は発見者P.ダニエルの名前をとって《ダニエル古注》または《増補版セルウィウス》(1600)と呼ばれる。文法,修辞文体論が注釈のおもな内容をなしているが,先行する他のウェルギリウス批評家に対しては,常にウェルギリウスを弁護する立場を貫いており,彼の詩才を高く評価している。セルウィウス自身も,当時の教養を総合的に身につけていたことが注釈からうかがえ,他にドナトゥスの文法書に対する注釈も残している。ちなみに,マクロビウスの《サトゥルヌス祭》で対話の相手として登場しているのは,このセルウィウスである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セルウィウス」の意味・わかりやすい解説

セルウィウス
Servius Honoratus, Marius (Maurus)

4世紀のローマの文献学者,注釈家。すぐれたウェルギリウスの注釈を著わした。マクロビウスのウェルギリウス研究『サトゥルナリア』のなかでも,議論に参加する対話者一人として登場している。

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世界大百科事典(旧版)内のセルウィウスの言及

【ドナトゥス】より

…ウェルギリウスの諸作品の注釈も書いたが,現存するのは前書き,《ウェルギリウス伝》,それに《牧歌》の序論だけである。しかし,彼の注釈はセルウィウスによって参考にされ,現在にも伝わるその膨大な注釈書に吸収されている。ラテン語訳聖書,いわゆる《ウルガタ》の編者ヒエロニムスはドナトゥスに学んだ。…

※「セルウィウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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