ソコギス(英語表記)Polyacanthonotus challengeri

改訂新版 世界大百科事典 「ソコギス」の意味・わかりやすい解説

ソコギス
Polyacanthonotus challengeri

ソコギス目ソコギス科の海産魚。体形はウナギ形で,胸びれの上方背縁から始まる背びれは27~38本のまばらなとげからなり,その棘間(きよくかん)距離はとげの長さより長い。英語で,この仲間をspiny eelと総称するが,この背びれのとげに由来する。関東近海の深海ベーリング海およびニュージーランド沖から知られ,寒海性の種と考えられる。体長50cmに達する。体はやや側扁し,後方にいくにつれ先細り,尾びれの後端はとがっている。吻(ふん)はとがって突出しており,口はその下面に開く。体の中心よりやや前方から始まるしりびれの前半も多数のとげからなり,後半は軟条となり尾びれに連続する。体色は全体に灰褐色で,しりびれの軟条とえらぶたの周辺が黒みを帯びる。鰓腔(さいこう)の内側は一面黒色。体表は一面に微小な円鱗により覆われる。下方に開いた口でゴカイなどの底生性生物を捕食している。日本産のソコギス科Notacanthidae魚類には本種のほかキツネソコギス,クロソコギスの2種が知られる。いずれも深海性で底引きトロールによりまれに採集されるもので,水産上さして重要ではない。
深海魚
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソコギス」の意味・わかりやすい解説

ソコギス
そこぎす / 底鱚
sping eel
[学] Polyacanthonotus challengeri

硬骨魚綱ソコギス目ソコギス科に属する海水魚。北太平洋、ベーリング海、ニュージーランド沖に分布する。体は細長く、とくに尾部は細い。吻(ふん)が突出し、口は小さくて腹面に開く。背びれには互いに離れた32~35本の棘(とげ)があるが、軟条はない。臀(しり)びれはよく発達して基底が長い。尾びれを欠く。体は暗褐色で胸びれは黒い。レプトセファルス型の幼生期を経る。全長50センチメートル余りになる。水深700~3700メートルの深海にすみ、底引網でまれに漁獲される。日本には本種のほかにクロソコギスとキツネソコギスNotacanthus abbottiがいるが、背びれの棘が少なく、13本以下である。タヌキソコギスは、背びれが棘と軟条からなることで、別のタヌキソコギス科に入る。

落合 明・尼岡邦夫]

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